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第58話「笹のはなし」

 コンが笹を一本持って帰ってきた。


 チビが目をまるくした。


「なにそれ」


「笹」


「なんのため」


「七夕に使う」


 チビは七夕のことをよく知らなかった。コンが説明した。短冊に願い事を書いて、笹に飾る。星に届くといわれている。


「ほしに?」


「そういわれてる」


「ほんとに?」


「さあ」


 チビは笹をじっと見た。葉っぱがさらさらと揺れた。いいにおいがした。


「ポンにい、ねがいごとなにかく?」


 ポンが笹を見て、「たべもの」と言った。


「なんのたべもの」


「おいしいたべもの」


「おおざっぱ」とコンが言った。


「なんでもおいしければいい」とポン。


 チビはしばらく考えた。自分の願い事はなんだろう。転ばないようになりたい。でもコンに言ったら笑われそうだ。


「ひみつにしていい?」


「いいよ」とコン。「願い事は秘密にした方がいいって言うし」


 チビはほっとした。

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