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第57話「雨あがりのけむり」
昼前に雨がやんだ。
チビが縁側に出たら、むわっとした空気が来た。
「あつい」
さっきまで雨だったのに、こんなに暑くなるのか、とチビは思った。地面から湯気みたいなものが、うっすら上がっている。
「けむり出てる」
「湯気だよ」とコンが言った。
「なんで」
「地面が温かくなってるから」
チビはしばらく眺めた。ゆらゆらとして、すぐ消えた。また出て、また消えた。
ポンが縁側にへたり込んで、「あつい」と言った。
「さっき言った」とチビ。
「またあつい」
かあさんが麦茶を持ってきた。コップのそとに水滴がついて、すぐ濡れた。チビはひとくち飲んだ。つめたくて、おいしかった。
「雨のあとってなんでこんなあついの」とチビが聞いた。
「蒸し暑いっていうんだよ」とコン。
「むしあつい」
「うん」
「むしってなに」
「蒸気の蒸」
「むずかしい」
ポンがごろりと横になった。縁側の板がひんやりしているらしかった。




