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第56話「なつのよるのこと」
夜がだんだん短くなってきた、とコンは思った。
でも暗くなってからのひとときが、このごろいちばん好きだった。
縁側に三匹で座っていた。ポンは麦茶を飲んでいる。チビは金魚の鉢をのぞいて、「よるもおきてるの?」と聞いた。「起きてるよ、たぶん」とコンが答えた。
川の方からかえるの声がした。蛍はもう見えなかったが、草むらのあたりがなんとなくにぎやかだった。
空を見上げると、星が出ていた。雲がすこし流れていて、星がときどき隠れた。
「ほたる、またみられるかな」とチビが聞いた。
「もうすこしはいると思うよ」
「よかった」
ポンが空を見上げて、「あつくなってきたね」と言った。
「うん」
「かき氷たべたい」
「明日ね」とコンが言った。
チビが「ぼくも!」と言った。かあさんが縁側の障子を少しあけて、「おかわりもあるよ」と言った。麦茶のことだった。
夜風が通り抜けて、金魚鉢の水がかすかに揺れた。




