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第52話「ポンと蛍」
ポンがひとりで川のそばを歩いていた。
夕涼みのつもりだったが、気づいたら暗くなっていた。まあいいか、と思って、草のうえに腰を下ろした。
しばらくして、蛍が一匹、すぐそばで光った。
ぽっ。
ポンは動かなかった。蛍もしばらくそこにいた。ぽっ、ぽっと、ゆっくり光っている。
もう一匹来た。また一匹。気づいたらまわりにたくさんいた。
ポンはぼんやりと見ていた。光が揺れるたびに、草の影がうごいた。川の音がしていた。遠くでかえるが鳴いていた。
しばらくして、後ろから足音がした。
「ポンにい! ここにいた!」
チビだった。コンもいた。
「心配したんだよ」とコン。
「ここにいた」
「見てればわかるけど」
チビが蛍に気づいて、「わ」と小さく言った。三匹でしばらく黙って見ていた。
ポンはさっきからずっと同じ場所に座ったまま、また目をつぶった。川の音と、蛍の光と、夜の風が、ぜんぶ一緒にそこにあった。




