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第50話「ほたるのはなし」
夕ごはんのあと、コンが言った。
「蛍が出てるらしいよ」
チビがぱっと顔を上げた。
「ほたる?」
「川のそばで光るやつ」
「みたい! みたい!」
かあさんが「暗くなってからね」と言った。チビはそれから夕暮れをずっと見張っていた。空がだいだい色から紫色になって、だんだん暗くなっていく。
「まだ?」
「まだ」とコン。
「まだ?」
「もうちょっと」
すっかり暗くなってから、三匹で川のそばに行った。
いた。
草のあいだで、ぽっ、ぽっと、黄緑色の光が浮かんでは消えていた。
チビは声も出なかった。
しばらく三匹で黙って見ていた。ポンが「きれいだね」と言った。コンも何も言わずにうなずいた。
「つかまえていい?」とチビが聞いた。
「見るだけにしよう」とコン。
チビはもう一度うなずいて、また黙って見ていた。ぽっ、ぽっ。草むらの光は、ゆっくりと揺れていた。




