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第44話「かたつむり」

 雨があがった午後、チビは庭に出た。


 あじさいの葉っぱに、かたつむりがいた。ゆっくり、ゆっくり、葉のふちを歩いている。


「コンにい! かたつむりいた!」


 コンがやってきて、のぞき込んだ。


「ほんとだ」


「さわっていい?」


「そっとならね」


 チビはそっと指をのばした。かたつむりはぴたりと止まって、しばらくして、またゆっくり動きだした。


「こわくないのかな」


「わからない」とコン。「でも逃げてないから、いいんじゃない」


 ポンも縁側からのぞいていた。


「でんでんむし、でんでんむし」と小さく言った。


「なに?」とチビが聞いた。


「かたつむりの別の名前」


「でんでんむし……」チビは繰り返した。「なんかおいしそう」


「食べないよ」とコン。


「たべないよ」とチビ。


 かたつむりはそんなことはおかまいなしに、葉のふちをゆっくり歩き続けた。雨あがりの庭は、しっとりと静かだった。


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