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第43話「あめのひのこと」
朝、チビが縁側に出たら、雨だった。
金魚に声をかけようとしたら、鉢のまわりがしっとり濡れていて、金魚はいつもよりゆっくり泳いでいた。雨の日の金魚はねむたいのかもしれない、とチビは思った。
ポンはもう縁側のはしっこにいた。丸まって、雨粒が落ちるのをぼんやり見ている。
「ポンにい、あじさい、さいてる」
「うん」
庭のすみに、うすむらさきのあじさいがかたまって咲いていた。チビははじめてちゃんと見た気がした。
コンが麦茶を三つ持ってきて、三匹ならんで座った。
「梅雨だね」とコンが言った。
「つゆ?」とチビが聞いた。
「雨がずっと続く季節。梅シロップも、もうすぐできるよ」
チビは梅の瓶のことを思い出した。ずっと待っていた、あの瓶。
「じゃあ、雨はいいの?」
「まあ、そうかもね」
コンはそれだけ言って、麦茶をひとくち飲んだ。ポンはもう目をつぶっていた。
雨はしずかに、ずっと降り続いていた。




