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第42話「すっぱいとあまい」

 縁側で、三匹がすももを食べていた。


 今日また取ってきたものだ。よく熟れていて、昨日より甘かった。それでもやっぱり、かじると顔がくしゃっとなる。


「なんですっぱいのに、また食べたくなるんだろ」


 チビがもぐもぐしながら言った。


「おいしいから」とポン。


「すっぱいのに?」


「すっぱいのも、おいしいうちだから」


 チビはそれをしばらく考えた。すっぱいのはちょっと大変だけど、その後に甘さが来る。その順番が、なんだかいい気がする。


 コンが梅の瓶を縁側に出してきた。砂糖が少し溶けてきて、瓶の底に薄い液体がたまっていた。


「少し溶けてきたね」


「まだ二週間ない」とチビ。「毎日ゆすってるのに」


「ゆっくりでいいんだよ」


 ポンが瓶をじっと見た。うっすら黄色がかった液体が、きれいだった。


「すももはすぐ食べられて、梅はゆっくり待つんだね」


「そうだね」


 チビがまたすももをかじって、くしゃっとなった。金魚が鉢の中で、ひらりと泳いだ。


 縁側に、夏の風が通り過ぎた。

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