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第36話「すももの木」

 もみじ坂の途中に、すももの木がある。


 コンは知っていたが、チビは知らなかった。今日、初めて気がついた。


「あの赤いの、なに?」


 木の枝に、小さな赤い実がたくさんなっていた。丸くて、つやつやしていて、宝石みたいだった。


「すもも」とコン。


「たべられる?」


「食べられるよ」


「とっていい?」


 コンが少し考えた。この木は、集落の誰のものでもない、山の木だ。落ちているものなら拾っていい、とかあさんが言っていた。


「落ちてるのなら」


 チビが木の根元を探した。草の中に、いくつか落ちていた。拾って、服でごしごし拭いて、かじった。


 途端に顔がくしゃっとなった。


「すっぱい!!」


「すももだから」


「でも、あまい、すっぱい、あまい……」


 チビはもぐもぐしながら、また顔をくしゃっとさせた。それでも食べるのをやめなかった。


 ポンも一つ拾って食べた。すこし目を細めた。


「すっぱいね」


「でもおいしい?」


「おいしい」


 コンも食べた。甘くて、酸っぱくて、果汁がじゅわっと出てきた。悪くない。


 三匹で、落ちているすももをぜんぶ拾って食べた。帰り道、チビの口の周りが赤くなっていた。


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