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第3話「雨の日のこと」
朝から雨だった。
チビは縁側に出て、雨がぽつぽつ落ちるのをながめていた。水たまりに波紋がひろがって、また消えて、また生まれる。
「チビ、外に出ちゃだめだよ」
コンが後ろから声をかける。
「わかってる。見てるだけ」
でも、しばらくすると、チビの足先がすこし縁側から出ていた。
「チビ」
「ちょっとだけ」
雨粒がチビのほわほわしっぽにぽつんと当たった。チビはびくっとして、あわてて縁側に引っこんだ。
「つめたかった」
「だから言ったでしょ」
ポンが奥から声だけかけた。
「かわいてるよ、おせんべい」
三匹はおせんべいをかじりながら、雨をながめた。雨音がざあっと大きくなって、また小さくなる。軒下に雀が三羽やってきて、ふくれっつらで雨宿りをしはじめた。
「あのこたち、ぬれてる」
チビが心配そうに言う。
「雀は慣れてるよ」とコン。
「でもかわいそう」
チビはおせんべいを一枚、軒下にそっと置いた。雀たちがびっくりして飛び上がった。でもすぐにおりてきて、おせんべいをつつきはじめた。
「食べてる」
チビがうれしそうに言った。コンも、奥で半分眠っていたポンも、なんとなく笑っていた。
雨は午後までつづいた。




