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第28話「いい一日」
何も予定のない日だった。
コンは本を読んだ。夏みかんの木の下で、香りに包まれながら、ゆっくり読んだ。難しいところも、今日はするするわかった気がした。
ポンは菖蒲を見に行った。ひとりでぶらぶら歩いて、菖蒲の前にしゃがんで、しばらくぼんやりして、帰ってきた。それだけだったが、なんとなく満足だった。
チビはウサギの子たちと遊んだ。かけっこをして、かくれんぼをして、どちらも負けた。でも楽しかった。転んで膝を擦りむいたが、たいしたことなかった。
夕方、三匹が縁側に集まった。
「今日なにしてたの」とチビがコンに聞いた。
「本読んでた」
「ポンは?」
「菖蒲、見てた」
「ぼくはウサギと遊んだ。負けたけど」
かあさんが夕ごはんを運んできた。今日は肉じゃがだった。湯気がたって、いい匂いがした。
チビが「いい一日だった」と言った。
コンが「うん」と言った。ポンも「うん」と言った。
夕暮れの空が、橙色に染まっていた。




