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第27話「菖蒲湯」

 かあさんが「今日は菖蒲湯にしよう」と言った。


 お風呂に、菖蒲の葉っぱをたくさん浮かべた。細長い葉っぱが湯船にたっぷり入って、さわやかな香りが風呂場に広がった。


「なんか、草みたい」


 チビが湯船をのぞいた。


「葉っぱのお風呂だよ」とかあさん。「体にいいんだって」


「たべるの?」


「食べないよ」


 チビが先に入った。葉っぱがぺたぺたと体にくっついた。なんだかくすぐったい。でも、香りがいい。


 次にコンが入った。葉っぱを一本手に取って、くるくると回した。細くて、すっとしていて、いい香りがする。


 ポンは湯船にどぼんと入って、葉っぱに囲まれて、そのまま動かなくなった。


「ポン、寝ないでよ」


「寝てない」


「目が閉じてる」


「休んでる」


 コンがため息をついた。


 上がったあと、三匹とも体がぽかぽかしていた。チビが「また入りたい」と言った。かあさんが「来年もしようね」と言った。


 チビはすこし首をかしげた。来年、という言葉が、とても遠い気がした。

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