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第26話「雨と薔薇」
雨が降った。
タキさんの薔薇に、雨粒がついていた。花びらの上に丸くころんとのって、光っている。
チビが塀のそとから眺めた。
「雨粒がのってる」
「落ちないんだね」とコン。
「なんで落ちないの」
「花びらがそういう形なんだよ、きっと」
チビはじっと見た。たしかに、花びらがすこしくぼんで、雨粒を受け止めているみたいだった。
タキさんが傘を差して出てきた。
「雨の薔薇も、きれいでしょう」
「うん! 雨粒がついてる」
「宝石みたいでしょう」
チビはもう一度よく見た。言われてみると、雨粒がきらりと光って、宝石みたいだった。
「ほんとだ」
タキさんがうふふと笑った。
ポンが傘も差さずに立っていた。毛並みがしっとりしている。
「ポン、濡れてるよ」とコン。
「うん」
「傘持ってきなかったの」
「忘れた」
コンがため息をついて、自分の傘をポンの頭の上に差し出した。ふたりで一本の傘に入った。チビはタキさんの傘に入れてもらった。
雨音の中、薔薇がしっとりと光っていた。




