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第25話「ポンのお気に入り」
ポンに、新しいお気に入りの場所ができた。
夏みかんの木の下だ。花の香りがして、木陰があって、地面がすこしひんやりしている。岩の上よりここの方がいい、とポンは思った。
今日もそこへ行って、まるくなった。
目を閉じると、香りが漂ってくる。風が葉っぱを揺らす音がする。遠くで鳥が鳴いている。
どれくらい経ったか、足音がした。
「やっぱりここにいた」
チビだった。ポンの隣にぺたんと座る。
「ここ、いいにおいがする」
「うん」
「ポンのお気に入り?」
「うん」
チビはしばらくおとなしく座っていた。珍しいことだった。香りのせいかもしれない。
そのうちコンもやってきた。本を持っている。木にもたれて、読み始めた。
三匹とも、何も言わなかった。
夏みかんの香りが、ゆっくり広がっていた。葉っぱの隙間から光が落ちて、ちらちらと揺れていた。
チビがこくりこくりとし始めた。ポンはとっくに眠っていた。コンは本を読みながら、なんとなく口元が緩んでいた。
いい午後だった。




