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第24話「薔薇のとげ」

 タキさんの家の庭に、薔薇が咲いていた。


 塀からはみ出すくらい、たっぷりと。赤いのと、ピンクのと、白いのと、色とりどりで、遠くからでも目を引く。


「わあ」


 チビが立ち止まった。


「きれい。さわっていい?」


 タキさんが縁側から顔を出した。


「いいけど、とげに気をつけてね」


「とげ?」


 チビが手を伸ばしかけた瞬間、コンが「待って」と言った。茎のところを指差す。たしかに、鋭いとげがいくつも出ていた。


「きれいなのに、とげがあるんだ」


「薔薇はそういうものだよ」


 チビはしばらく考えて、花だけそっと指先で触った。柔らかくて、びろうどみたいだった。


「花はやわらかいのに、とげはかたい」


「うん」


「なんでだろ」


 コンは答えなかった。タキさんが「守ってるのかもねえ」と言った。チビはそれを聞いて、薔薇をもう一度見た。きれいで、やわらかくて、でもちゃんと守っている。


 ポンが薔薇の香りを深く吸い込んで、「いいにおい」とだけ言った。


 帰り道、チビはずっと薔薇のことを考えていた。

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