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第19話「お祭りの夜」

 集落のお祭りは、夕方から始まった。


 もみじ坂の入口に提灯が並んで、屋台がいくつか出ていた。焼きとうもろこし、甘酒、串に刺したおもち。人間も、タヌキも、ウサギも、みんな浴衣や普段着で出てきていた。


 チビは目をきらきらさせながら、あちこち走り回った。コンはため息をつきながらあとを追った。ポンは甘酒を一杯もらって、静かなところで飲んでいた。


「コン、これたべたい!」


「さっきおもち食べたでしょ」


「おなかに別のところがある」


「ない」


 でもコンは買ってあげた。焼きとうもろこしを二本、チビと半分こした。あまくて、焦げ目がついていて、おいしかった。


 夜がふけると、空に花火がひとつ上がった。小さな集落のお祭りだから、たった三発だけ。でも夜空にぱっと開いて、みんなが空を見上げた。


 チビが「わあ」と言った。ポンが「きれい」と言った。コンは何も言わなかったけれど、ずっと空を見ていた。


 花火の煙が、夜風にのってゆっくり流れていった。


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