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第15話「田んぼのそばで」

 もみじ坂のふもとに、田んぼがある。


 先日まで水だけだったのに、今は細くて青い苗が、ずらりと並んで立っていた。水面に空が映って、苗の緑がきらきら光っている。


「ちっちゃい」


 チビが田んぼのふちにしゃがんで、苗をのぞき込んだ。ほんとうに小さい。こんなものがお米になるのか、と不思議だった。


「大きくなるの?」


「なるよ」とコン。「秋になったら、黄色くなって、お米になる」


「このちっちゃいのが?」


「うん」


 チビはしばらく苗を見つめた。それからそっと、指先で一本だけ、つんと触った。苗はゆらりと揺れた。


「がんばれ」


 小さな声で言った。コンは何も言わなかった。


 ポンは少し離れたあぜ道に座って、田んぼ全体をながめていた。水面の空と、緑の苗と、遠くの山と。


「きれいだね」とコンが言った。


「うん」とポン。「ごはんのにおいがする」


「まだ苗だよ」


「なんとなく」


 風が渡って、苗たちがいっせいにそよいだ。田んぼじゅうが、さわさわと揺れた。

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