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第14話「三匹の昼さがり」
昼さがり、風がやわらかい日だった。
コンは縁側で本を読んでいた。ポンは縁側でまるくなっていた。チビは庭で何かを探していた。
しばらくして、チビが「あった!」と言った。何が、とは言わなかった。コンは本から目を上げなかった。ポンは耳だけぴくっとさせた。
また静かになった。
風が吹いて、藤の花の匂いをはこんできた。遠くでうぐいすが鳴いた。ポンがちょっと寝返りをうった。
チビがとことこ縁側に戻ってきて、コンのとなりに座った。
「ねえコン」
「なに」
「春ってすきだな」
コンは本のページをめくった。
「うん」
「なんかいいよね」
「うん」
チビはそれで満足したのか、ぽすんとコンの肩にもたれた。ポンがうっすら目を開けて、空を見た。雲がゆっくり流れていく。
何も起きない午後だった。
ただ、風が吹いて、花の匂いがして、三匹がそこにいた。それだけで、じゅうぶんだった。




