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寄るなイケメンっ!私は私の道を行くー覇道を極めし悪役令嬢ー  作者: 折若ちい
第9章 隠密カイル、世界諜報網「ローゼン・リークス」の構築

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49話 魔王城「ローゼン・テーマパーク」化計画

四天王に「名刺交換の角度」と「部下を焼かない忍耐力」を叩き込み、魔族のプライドを「社畜の矜持」へとアップデートしてから三日。私は次なる一手——負債の象徴である「魔王城」の有効活用マネタイズに乗り出した。


「……マックス。魔王城の維持費、年間で四億ローゼンもかかっているそうね? あの無駄に高い尖塔と、勝手に動くガーゴイル。……ただ置いているだけで赤字を垂れ流すなんて、私の帳簿(美学)が許さないわ」


私が冷徹に、魔界の稀少な鉱石をあしらったペーパーナイフを弄ぶと、マックスは「リニューアル案」という名の、あまりにも容赦ない企画書を提示した。


「……CEO。仰る通りです。そこで、魔王城を『全方位没入型・魔王討伐アトラクション:ローゼン・ファンタジア』として一般開放いたします。……勇者になりたい平民から、ストレス解消を求める貴族まで。……一回三万ローゼンで、本物の魔王(サタン事業部長)と戦える権利を販売します」


「……プッ、あははは! 本物の魔王と戦える? ……贅沢な『接待プレイ』じゃない。……サタン部長、準備はいいかしら?」


モニターの中では、サタン事業部長が「勇者に敗北する際の、最も劇的で、かつ相手を満足させる倒れ方」の研修を受けていた。


「……セシリア。私は、魔界の王……。……なぜ、子供たちが持っている『プラスチックの聖剣(ローゼン製)』で突かれて、膝をつかなければならないのだ……。……しかも、このセリフ……『ぐわぁぁ、流石は選ばれし勇者だ、次は負けぬぞ(次回予約はこちら)』。……あまりに屈辱的だ……っ!」


「……黙りなさい、サタン部長。……貴方のその『敗北サービス』一回につき、我が社の『物販利益(勇者グッズ)』が二〇パーセント跳ね上がるのよ。……世界を恐怖で支配するより、世界を『娯楽』で依存させる方が、よっぽど強固な統治だと思わない?」


そこへ、アトラクションの「安全点検係」として、アルヴィスが城の跳ね橋を素手で持ち上げながら現れた。

 彼は今、来場者の子供たちを背中に乗せるための「ゴールデン・ポニー」という名の、異常に筋肉質な馬の着ぐるみ(※頭部は露出)を被っていた。


『セシリア様ーー!! 魔王城のトラップを、すべて「筋肉式・アスレチック」に改造しておいたぞーー!! 落とし穴の底にはフカフカの筋肉(俺の腕)が待っている!! 子供たちの笑顔が、俺の大腿四頭筋をさらにパンプアップさせるんだーー!!』


「寄るなイケメン! 貴方のその『馬の着ぐるみ』、筋肉が盛り上がりすぎて形がクリーチャー(怪物)になっているわよ! ……マックス。アルヴィスの『おんぶ一回』につき、追加料金五〇〇ローゼンを徴収なさい。……『世界最強の騎士による、超高速・重力体験』。……富裕層の親たちに、高値で売りつけてあげるわ」


『……っ! 俺の筋肉が……子供たちのキャッシュを運ぶ動力源に……! セシリア様、俺は今、世界で一番幸せな家畜アセットだあああ!!』


一週間後。「ローゼン・ファンタジア」がグランドオープン。

 かつて死の静寂に包まれていた魔王城は、今やポップなBGMと、ポップコーンを頬張る観光客で溢れかえっていた。

 四天王のフレアは「焼き立てグリル料理店」の店長として、セレナは「真夏のスケートリンク(一年中営業)」の管理責任者として、これまでにない「黒字」を叩き出していた。


「……さあ、次の決算を始めましょう。……マックス。……来場者の『感動の涙』と『恐怖の悲鳴』。……それを魔力変換して、タワーの予備電源として蓄電なさい。……感情ですら、我が社の『再生可能エネルギー』の一部よ」


悪役令嬢セシリア・ヴァン・ローゼンバーグ。

 彼女の覇道は、人類最大の敵であった「絶望」すらもパッケージ化し、一円たりとも逃さぬ「娯楽ビジネス」へと変え尽くした。


「……サタン部長。……次は『夏休み限定・魔王の宿題お助けプラン』よ。……貴方の全知全能の頭脳を使って、子供たちの算数を解きなさい。……一問につき、一〇ローゼンの利益になるわ」


魔王の慟哭が、アトラクションの陽気な喧騒にかき消されていく。

 セシリアの支配は、ついに「恐怖」という概念を、市場から完全に抹消デリートしようとしていた。

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