表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寄るなイケメンっ!私は私の道を行くー覇道を極めし悪役令嬢ー  作者: 折若ちい
第9章 隠密カイル、世界諜報網「ローゼン・リークス」の構築

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/59

44話 窓際族の「座談会」

モップ一本で広大なロビーの清掃ノルマを課され、アルヴィスの筋肉摩擦熱で乾燥肌になったエリオットを、私は次なる「不採算部門」へと異動させた。

 ローゼン・タワー44階。そこは、戦略的放置、あるいは社会的隔離を目的とした部署——通称**「歴史遺産保存(窓際)課」**である。


「……マックス。あの『不良債権』の様子はどうかしら? 新しい職場(流刑地)には馴染んでいるようね?」


私が監視モニター越しに、特製の魔導カカオを口にしながら問いかけると、マックスは眉一つ動かさずに映像を拡大した。


「……CEO。エリオット氏は現在、元ガリア帝国の汚職官僚、元聖教国の横領神父、そして元魔王軍のリストラ幹部と共に、円卓を囲んで『昔は良かった座談会』を開催中です。……生産性はゼロ。……むしろ、彼らが吐き出す溜息の二酸化炭素濃度が上昇し、空調コストが悪化しておりますな」


「……プッ、あははは! 負け犬たちの互助会サロンね。……でも、私のタワーの空気をタダで汚させるわけにはいかないわ。……カイル、あの部屋の『愚痴』をすべて集音なさい。……一言喋るごとに、一〇ローゼンの『施設利用料』を自動チャージするのよ」


「……了解しました。……現在、エリオット氏の『僕は王子だったのに』という発言がループ再生されており、課金額が順調に跳ね上がっています」


モニターの中では、エリオットが熱っぽく語っていた。


「……いいか、君たち。セシリアはいつか失敗する。あんな冷酷な経営、神が許すはずがないんだ! 僕は今に見てるよ、彼女が僕の足元に跪いて『エリオット様、戻ってきてください』と泣きつく日をね……!」


その時、部屋の扉が「バァァァン!」と開き、ディートリヒが髪を逆立てて乱入した。


「……五月蝿うるさい。……エリオット……君の脳内から漏れ出す『非論理的な妄想波』が、私の演算回路にノイズを混ぜているんだ。……今すぐその無駄な脳細胞を、私の『スパムメール自動仕分け』の演算リソースとして差し出しなさい……!」


「な、なんだ君は! 僕は王子だぞ! 無礼な……っ!」


「……王子(過去の肩書き)に、一ゴルドの資産価値も……ない。……セシリア様の帳簿(世界)では……君は『消し忘れたログ』に過ぎないんだ……」


ディートリヒの冷徹な正論に、エリオットが言葉を詰まらせる。……ふふ、天才の毒舌は、どんな物理攻撃よりもエリオットの薄っぺらな自尊心を抉るわね。


そこへ、窓の外から「ドンドンドンドン!」とガラスを叩く音が響いた。

 アルヴィスが、44階の窓の外に「足の指先だけでぶら下がった状態」で、逆さまに顔を出していた。


『エリオットーー!! 窓際族だからといって、座ってばかりでは大臀筋が腐るぞーー!! 見ろ、この「逆立ち空中給水」を!! 汗を流せば、過去の未練など蒸発して消えるんだぞおおお!!』


「寄るなイケメン! 貴方のその『逆さまの笑顔』、窓際課の連中に余計な恐怖心ストレスを与えて、メンタルヘルス対策費が嵩むじゃないの! ……マックス、窓際課のデスクをすべて『自家発電式ペダル付き』に交換なさい。……彼らが愚痴を零す代わりに足を動かせば、タワーの夜間照明くらいは賄えるはずよ!」


「……承知いたしました。……『喋れば金を取られ、動けば電力を奪われる』。……これぞ真の窓際デッド・エンドですな」


モニター越しに、強制的にペダルを漕がされながら「僕は……僕は……」と涙を流すエリオット。

 悪役令嬢セシリア・ヴァン・ローゼンバーグ。

 彼女の覇道は、かつての婚約者の「恨み」すらも「運動エネルギー」へと変換し、徹底的に搾り取っていく。


「……さあ、次の決算を始めましょう。……エリオット。……貴方のその『失恋の悲しみ』。……我が社の『恋愛シミュレーション・ゲーム』の「バッドエンド・データ」として、五〇〇ローゼンで買い取ってあげるわ。……感謝して売却なさい」


窓際の王座すら奪われ、ただの「人力発電機(低出力)」へと成り下がった王子。

 世界の理は、冷徹な数字によって、今日もまた一つ更新アップデートされる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ