32-後処理
ラインハルトたちがシャルマニアを去ってから一週間後に、シャルマニア王家からヴィヴィアン王女の死と、オーギュスト王子が王室から除籍されたことが発表された。
この発表に、人々はヴィヴィアン王女の死とオーギュストを結びつけて考えないはずがなかった。
ヴィヴィアン王女の正確な死亡日については公表をされなかったものの、葬儀は執り行われ、多くの国民たちが彼女の死を悼み、オーギュストを憎んだ。
シャルマニアの次期国王は傍系の男子から選出されることになり、オーギュストは今後、植民地で一般市民としての生活を余儀無くされる。
幸か不幸か、オーギュストの追放先には爵位を剥奪されたアランも同行をしていた。
アランの主な仕事はオーギュストの自殺を止めることだが、それが失敗した日には、アランは植民地からも追放され、どこかで第二の人生を歩むことになるのかもしれない。
ヴィヴィアンの死によってシャルマニアとエーデルラントの婚姻話は立ち消えとなったものの、それに対してエーデルラントは我関せずを貫いた。
ヴィヴィアンの死はシャルマニア国内での問題であり、婚姻話の立ち消えはやむを得ないもの、とにかく『エーデルラントを巻き込むな』という強い意志だった。
レアは無事エーデルラントへの帰国が叶ったものの、過度のストレスと栄養失調で意識不明の状態に陥り、一度は生死の境を彷徨った。
幸い、医師の治療とジークフリートの懸命の看病により意識を取り戻し、少しずつだが回復の兆しを見せていた。
♢
__宮殿の一室。
意識を取り戻したレアは、まず始めにジークフリートとラインハルトの二人に謝罪をした。
「娼婦である自分がずっと、嫌だったんです……」
自分が目を逸らし続けてきた、本当の気持ちだった。
「王女になったら、自分じゃない人間になれると思った……あの時断っていれば……」
ジークフリートに会うためなどと綺麗な理由を作り、自分に言い聞かせていた。
だが本当は、王女になって娼婦のレアを殺したかっただけだった。
ずっと自分は死にたいと思っていたから……
「本当に、ごめんなさい」
慰めようとするジークフリートを退け、ラインハルトはその謝罪をあっさりと切り捨てた。
「思い上がるな」
その言葉に、ジークフリートも驚きを隠せない様子だった。
「お前が断ろうとも別の女が犠牲になるだけだ。それに、余はオーギュストを消せて気分がいい」
ラインハルトは含み笑いを浮かべる。
「余は自分の家族を大切にしない奴が嫌いなんだ」
その言葉に、ジークフリートが反応をする。
「そのことですが、殿下」
ジークフリートがラインハルトに向き直る。
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