表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/34

12-予想外の再会


「緊張をしているようだな」


 ラインハルトが口を開く。


「療養から戻ったばかりだと聞いているが、調子は如何かね」


 自分はラインハルトに嫌われるためにここへ来た。

 そのことを忘れてはいけない。


「皇太子殿下だけには嘘は吐けません……

 正直に言いますと、体調は芳しくない状態です」


 ラインハルトにはあえて気を使わず、王族としてのモラルから外れない範囲で図々しく振る舞う。

 アランからの指示だった。


「ご迷惑をおかけする前に、シャルマニアに帰りたいです」


 招かれておいて帰りたいなどと言うのは、失礼極まりないだろう。

 ラインハルトからの返答はない。


「実は病も完治しておりません、治る見込みも……」


 レアがそこまで言うと、ラインハルトが口を開く。


「自分に瑕疵(かひ)があることを包み隠さずに伝える、それはマイナスにしかならないが、時と場合によってはプラスに働くこともある」


「余は後者だ」


 失敗だった。

 レアの言葉をまったく意に返していない様子だった。


 ラインハルトに伴われ、ヴィヴィアンに扮したレアは会場に入る。


 会場中の視線がラインハルトとレアに集まる。


「ラインハルト皇太子殿下と、シャルマニア王国王女・ヴィヴィアン殿下です!」


 宮仕が声を上げると、会場中の人間が二人にかしずく。

 パーティが始まった。


 このパーティの主役であるラインハルトとレアの周囲には、貴族たちが集まり人だかりができる。

 貴族たち一人一人に挨拶をしていると、ラインハルトが口を挟む。


「そなた達、あまりシャルマニアの王女を囲むな。これではパーティが挨拶だけで終わってしまう」

 

 ラインハルトが合図を送ると、楽団が音楽を奏で始める。


「今夜は挨拶ではなく踊るための宴だ、皆、遠慮することはない」


 皇太子の呼びかけを拒むわけにも行かず、貴族達は挨拶もそこそこにそれぞれのパートナーと踊り始めた。


「そこの侍従も、パーティに来て一曲も踊らないのは無礼であるぞ」


 ラインハルトはアランにそう言い放つ。


「皇太子殿下の仰る通りでございます、」

 アランは愛想笑いを浮かべ、近くにいた女性に声をかける。


 その様子を見送ると、ラインハルトがレアの耳元で囁く。


「個室でパーティが終わるころまで休んでいれば良い、貴族たちのことは気にするな」


 先ほどレアが「体調が優れない」と言ったから、この人は無理やり貴族達を引き上げさせたのか。


「余は公務がある故、余の騎士に個室までの案内と護衛を任せる、何か用事があればそいつに言うといい」

「はい……」


 レアが思っていたよりもずっと、ラインハルトは紳士的な振る舞いを見せる。

 だがこのままだとアランと引き離されてしまう。

 しかし体調が悪いと言ってしまった手前、無下にすることもできない。


「ラインハルト殿下、」


 レアとラインハルトに、騎士団の制服を着た青年が近づく。


「ちょうどいいタイミングだ。

 王女殿下を個室に案内し、パーティが終わるまで護衛をしてくれ」


 レアはその騎士の顔を見て、我が目を疑った。


「余の騎士のジークフリートだ。まだ雇い入れたばかりだが実力は本物だ」


 騎士の青年__ジークフリートも同様だった。

 二人はしばしの間、硬直し見つめ合った。


読了ありがとうございました。

よろしければブックマーク・いいね、☆☆☆☆☆から評価いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ