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11-ラインハルトとの対面


 エーデルラントへ発つ日が訪れた。

 シャルマニア王都からエーデルラント王都は道中での滞在も含めて馬車で三日ほどかかる。


「ヴィヴィアン殿下、エーデルラントでは一瞬の油断も許されませんからね」


 同行者の中にはアランもいた。

 エーデルラント王都の滞在はわずか二日間、ラインハルトとの初対面は社交パーティの直前だった。


 馬車は行く先々で市民たちが見物にやって来て、エーデルラントに入ると両国の国旗を持った市民たちがヴィヴィアン王女を歓迎した。

 特に皇都での出迎えは凄まじく、まるでお祭りのように賑やかな様相を呈していた。


 宮殿に到着したのは夕刻、宮殿でも盛大な歓迎を受けた後、ヴィヴィアンのために用意された部屋で社交パーティ用のドレスに着替え、ヘアセットと夜用のメイクが施される。


 それを終えると、侍女たちに伴われて今度は応接間に向かう。

 ここでラインハルトが迎えに訪れるのを待つのだ。


 レアは落ち着かない様子で、手元や足元をそわそわとうごかしていた。


 ちゃんとレッスンの通りに振る舞えば大丈夫。

 とにかく堂々と振舞わなければ……


 アランから礼儀作法や振る舞いで注意するように言われていたことを、頭の中で何度も復唱する。


「ヴィヴィアン殿下、」


 背後からアランが小声で囁く。

 レアが顔を上げると、応接間の扉が宮仕によってゆっくりと開かれようとしていた。


 扉が開け放たれ、礼服を着たブロンドの青年が応接間に足を踏み入れる。


「遅くなってすまない、会議が長引いてしまった」


 青年は不遜な態度でレアに近づく。



「初めまして、王女殿下。

 余がラインハルト・ユリウス・フォン・エーデルラントだ」

 


 彼こそがエーデルラント皇太子・ラインハルト。


 ラインハルトの姿を見て、レアは言葉に詰まった。

 本来ならば、ヴィヴィアンとしてこちらも挨拶をしなければならないのに、それができなかった。


 輝くブロンドの長髪に、青い瞳。

 顔立ちは彫刻のように美しく、人間離れした神々しさすら放たれている。

 その佇まいは、まさに次期皇帝に相応しいと言った具合の貫禄だった。


 しかしレアが何よりも目を引いたのは、美しく澄んだ青い瞳だった。


(この目、ジークとまったく同じ目の色……)


 それだけではない。

 ラインハルトの顔立ちはどこかジークフリートに似ていた。


 常に余裕綽々で尊大な態度は心優しい彼と似ても似つかない。

 だが、実は兄弟と言われたら信じてしまいそうなほどに、ラインハルトからは彼の面影を感じさせられた。


「パーティはもう始まっている、行くぞ」


 ラインハルトがレアに手を差し出す。

 レアはすぐに我に返り、恐る恐るその手を取った。


(ジークのことを今は忘れなければ……)


 侍従たちはパーティの間は控え室にいる。

 共に会場に入れるのはアランのみだが、彼と会話をする余裕はなさそうだった。


読了ありがとうございました。

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