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第九話 ハイタッチ!

前回までのあらすじ。

優にとって予想外の行動をとってしまった翔。それがなんなのかわからず、途方に暮れてしまう――

 僕がつけたキャラの名前が、優にとって予想外の出来事? しかも、それが原因でキャラのブレが治らなかった?

 僕は両手で頭を掻きむしった。


「だぁー! 全く意味わかんない!」

「答え、教えようか?」

「……いい。たまには自分で考える」

「えらいじゃないか。成長したな、翔」


 なんと上から目線なメガネ君か。絶対自力で答えまで辿り着いてやる!

 僕は脚本を手に取り、食い入るように読み直し始めた。


「さて、コーヒーでも淹れてこよう。粟屋あわやさん、コーヒー飲める?」

「お砂糖とミルクがあれば……って、それくらいなら私がやるわよ」

「いいよ。翔の家に来たの初めてでしょ? 勝手がわからないと不便だからね。というわけで、翔。キッチン借りるよ?」

「お好きにどうぞ」


 優は立ち上がり、部屋を出ていった。僕は構わず、脚本の隅々まで目を通しながら、優の言おうとしている答えを探し続けた。下顎をさすりながら、頭をフル回転させる。


「んー……」

「うーん……」

「んんー……」

「うーん……」


 僕は頭に怒りマークを浮かべ、脚本をクシャッと握りしめた。


「うるさいな、委員長いいんちょ! さっきから被せるように、うんうん唸ってさ! こっちは真剣に悩んでるんだぞ!?」

「いや、私も悩んでいるのよ。私が演じるとしたらどの役かなぁって思って」

「演じる……?」

「そうよ。だって、これは小説じゃなくて演劇なんだから。最終的には私たちが演じるのよ?」


 その瞬間、僕は全身に電流が走ったかのような錯覚に陥った。

 そっか。どうしてこんな単純な見落としをしていたんだ。これは、脚本なんだ――


「お待たせ。コーヒー淹れてきたよ――」

委員長いいんちょ、優、ごめん!」


 優の声を遮るように、僕は声をあげた。

 一瞬驚いた表情を見せる優。だけど、すぐにいつものにんまりとした笑みに戻った。


「その様子だと、答えにたどり着けたみたいだね」

「うん……たぶん」


 僕はコクリと頷いた。


「じゃあ、粟屋さん。俺たちは帰ろうか」

「えっ、どうして!? 一緒に直さなくっていいの!?」

「翔なら一人で大丈夫だよ。それに、一人の方が集中できるタイプだしね」


 二人が出ていったあと、僕は自室に戻り、キーボードを叩き続けた。珍しく、書き終えるまで僕の手が止まることはなかった。



 翌日――


 新しい脚本は出来上がった。出来上がったその脚本を、優と委員長いいんちょが僕の前で黙読している。

 二人が読み終えるのを待つ間、一秒がえらく長く感じた。評価を聞くのが怖いとも思った。それでも、僕はただただ待った。

 脚本を読み終えた二人が、同時に顔をあげて僕を見た。


 僕の心臓が、ドクンと大きな音を立てた。


「ど、どう……だった?」


 優と委員長いいんちょはお互いの顔を見合わせ、にっこりと笑った。

 そして、二人は立ち上がり僕の元に駆け寄ってきた。


「やるじゃん、祭ヶ丘君! これ、すごくいいよぉ!」


 委員長いいんちょが僕の手を握って、ぴょんぴょん飛び跳ねる。

 優は僕の前に立ち、クイッとメガネをあげた。


「俺も驚いた。直せるとは思っていたけど、ここまで良くなるとは思わなかったよ。それに――」

「優の言いたかった答え。当たってた?」

「あぁ」


 親指を立て、優がグッジョブサインをする。


「それにしても、よく気がついたね。俺がコーヒーを淹れてる短い間にさ」

委員長いいんちょのおかげさ」

「私の……?」

「私が演じるなら、っていってただろ? その言葉で、脚本の先にある配役のことに気が付けたんだ」

「配役……そっか。だから、今回の脚本では、キャラクターの名前が、全部クラスメイトの名前に変わっていたのね!」


 僕は頷いた。

 優は脚本の話を聞いたとき、僕が素直にキャラをクラスメイトにあてがうと思ったはず。でも、僕はそこまで頭が回らなかったから、優の予想が外れた。結果、僕は課題の突破口が見えなかったんだ。


「配役を意識して脚本を書けば、キャラクターをイメージしやすくなる。しかも、現実に存在する人間をモチーフにしているから、ブレることのない、リアルなキャラクターが書けるようになる」

「なるほど。あいつだったらこう言うかな、こういう風に行動するだろうな……って考えながら書くんだね!」


 委員長いいんちょは納得したように、ポンと手を叩いた。


「そう。キャラクターだって、物語の中では生きているんだ。ちゃんと性格があって、意思があって、守りたいものがあって――そこに、僕たち人間との違いはない」


 僕は今まで読んで面白いと思った小説の、胸を熱くさせてくれたキャラクターたちを思い出した。そのキャラクターたちは、今思い出しても生き生きとしていた。台詞からも行動からも、確かに生を、熱を感じた。それが、僕の作品には無かったんだ……。


「つまり、キャラがブレちゃってた原因は、僕がキャラクターの存在を軽視していたこと。だから、ストーリーの都合のいいような発言や行動が目立って、キャラがブレていったんだ」

「完璧な答えだよ、翔」


 優はそう言って、にっこりと笑い、おもむろに右手を掲げた。

 優の考えていることは、いつも難しくて僕にはわからない。でも、今だけは、優が考えていることが良くわかった。

 僕は頬を緩め、大きく振りかぶってハイタッチをかわした。



 こうして、僕は脚本を書きあげることに成功したのだった――

 はじめましての人も、そうでない人も、改めましてこんにちは!

 そして、かなりお久しぶりです。どうも、いべちゃんです。

 

 以降はテンプレですが、アンケート文です。



 まずは、本作品に目を通していただき、ありがとうございました。

 さて、普段あとがきなんて書かない僕ですが、折角なので有効活用しようと思います。

 キーワードやまえがきにも書きましたが、読者参加型アンケートシステムというのを導入しようと思います。

 まあ、システムといってもあとがきにアンケート項目載せて、それに感想を使って答えて頂く……といった簡素なものですが。

 感想を普通に書くも良し、アンケートに答えて頂くも良し。両方書くも良し! なわけです。


 アンケートの目的は、『この作品の質の向上』及び、『なろうに関わる人が興味あるけど聞けないあんなことやこんなことを情報共有できる場を設けたい』といったところです。

 答えて頂いた内容の中から、作品内に反映させていただくこともあると思いますので先にお伝えしておきます。


 おかげさまで多くの方からご協力頂けている読者参加型アンケートシステム。現在は第二回アンケートになって質問項目が変わってます。


 では、第二回アンケートです。

(作家様用)

【1】なろうを始めて良かったなと思ったこと。逆に良くなかったことでも可。

【2】自身の作品に挿絵をいれたいか? できればその理由も。

【3】読んだ作品に感想・評価をつけるかつけないかを分ける最大のポイントは?



(読み専様用)

【1】なろうを始めて良かったなと思ったこと。逆に良くなかったことでも可。

【2】挿絵があった方が読みやすいか? できればその理由も。

【3】読んだ作品に感想・評価をつけるかつけないかを分ける最大のポイントは?


 と、今回はこんな感じになっています!

 アンケートへの参加、評価等頂けるとありがたいです。多くの人の目にとまり、なろう監修作品とかになれれば、読者の皆様へよりリアルな作品がお届けできるようになるなぁとか妄想しています。ご協力お願いします。


 では、皆様。第十話でまたお会いしましょう~。


 ちなみに次回は第三回アンケート実装します!

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