第37話 夜二紛レヨ
さて、と。
日は沈んだ。
すなわちフロンティアの入団試験の時間だ。
確か、酒場でまた合流、だったな。
行くか。
ベスティは入口で待っていた。
「待ったか?」
「そうでもないな。
まだ来てすぐだ。
受け取り場所は西の鉱山。
地図を渡す。
詳しいことは依頼人から聞け。」
20分ぐらい歩いてようやくたどり着いた。
しかし良かった点もある。
鉱山への道はほとんどが街道だ。
街道とはいえ、夜はほとんど人は居ないため、人に見つかる心配もなければ、整備された道も歩ける。
地図を見るにこの鉱山だと思うが……?
しばらく経つと、鉱山から人が出てきた。
4人いる。
そして、全員が青色の装束をしている。
ローブ、コート、ベスト、服はそれぞれだが、全員が青色に統一されていること、そしてどこかに三日月の形の飾りを付けているところは一致していた。
そのうちの一人が前に出る。
金髪で、青いマントを付けている。留め具に三日月が見られた。
「荷物はこれだ。」
木箱に入っていて中身は分からない。
持ってみるとかなり重さがある。
「衝撃に弱いから気をつけて運んでくれ。
ウェルゼガイエンの図書館まで。
以上。」
男達4人は洞窟の中に戻った。
質問は受け付けない。
そんな感じだろう。
さて、ここから衝撃に気をつけて運ぶだけだ。
……10分ぐらい運んだか?
結構キツイ。
何せ重いし、暗い。
ベチョ。
え?
足元が濡れていた。
足元をよく見てみる。
……血痕。
道を外れ、森の方へ続いている。
しかし、これを追ったら仕事を放棄するも同然……。
「キャーーーーーッ!!!!」
何者かの叫び声だ。
森の方から響いた。
……これを置き、音源を辿れば、試験は失敗となる。
しかし、あの叫び声。
何かがあったと捉えるのが普通だ。
あれは……
檻か?
人の叫び声……檻。
もはや嫌な予感しかしない。
檻には監視者と見られる男が5人いる。
3人が奥の方で火を囲んでいる。
手間側の檻の前に2人座っており、怒鳴っている。
「1人死んだだけでメソメソすんじゃねぇ!」
バチン!
という音。
鞭か?
もう一人、少女の声が響く。
「ひ、ひぃ!」
後ろから肩をつつかれる。
思わず飛び上がる。
ベスティだ。
「荷物をほったらかして何をしている。」
「血痕が見えたし、聞いたか?あの声。」
「それは聞こえていた。」
「しかも檻ときた。
不味い予感がするだろ。」
「そうだが……
これは試験で。」
「それは分かってる。
失格でいい。
今は目の前に集中してる。
邪魔しないでくれ。」
ベスティは呆れたような、失望したような顔を浮かべてどこかに行く。
ベスティには悪い事をした……。
でも、目の前の誰かに危険が差し迫っているなら、見過ごすことはできない。
さて、どこから片付けるか?
まずは手前の2人だが……
一緒にいるのが厄介だ。
そこで私は木の枝を檻の右側に投擲する。
「ん?
今何か…?
見てくる。」
しめた。
これで檻の前にいるのは一人。
檻は2mくらい。
このぐらいなら登れる。
上から男を見る。
やはり鞭だったか。
上から飛びかかると同時にうなじにナイフを一刺し。
そして声を出さないように口を左手で抑える。
檻の中にいたのは全裸同然の子供が数人だった。
もはや泣く元気も残っていないようで、ただ震えている。
考えられる可能性は私には1つしか浮かばなかった。
人身売買。奴隷として売りつける気だろう。
子供達に対して、静かにして。とサインを送る。
決して許すことは出来なかった。
私も奴隷上がりのようなものだ。
辛さは誰より理解している。
枝を確認した奴が帰ってこちらに帰って来ようとするが、再び檻に登り、飛びかかる。
上に乗り、怒りに任せ首を力強く回す。
ガギッ。
という音がする。
男は動かなくなった。
いや……。
落ち着け。
冷静だ。
怒りで戦ってはいけない。
さてと。
後3人。




