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第3話 正義
「…盗み?」
「そ。
あまり褒められたことじゃないよね。分かってる。
自分で困ってる人は見過ごせないとか言っておきながら、こんなことしてるとか。まじサイテー。」
ラーナの目は憂いを帯びている。
しかし、ここまでしてくれる人のどこが最低だと言うのだろうか。これほどの慈悲を持っている人間はこの世にどのぐらいいるのだろう。
「じゃあ、直近で誰から盗んだんだ?」
「税金の取り立て屋、闇金、そして盗賊かな。」
「一体それのどこが最低だと言うんだ。」
つい声を荒らげてしまった。ラーナはビクッとする。
「いや。すまない。続けてくれ。」
「まーそんな感じで、それの手伝い?的なことをして欲しい。
というより、もう話しちゃったから、やってくれないと困る。」
「わかった。
君の…稼業を手伝おう。」
「ありがとう。」
「ありがとうはこちらのセリフだろう。」
「そだ。
なんで言えばいい?君のこと。
名前がないから…ナナシとかどう?」
「ナナシ…ナナシ…気に入ったぞ。それで行こう。」
自由になって、1時間。
盗人になり、名前を手に入れた私であった。




