第31話 空白
今日はもう暗かったので、夕食を作った。
まぁありきたりなシチューだ。
玉ねぎや豆、そして鶏肉を少々。
◾︎◾︎から教わった——
ん?
誰だ?
思い出せない。
ヴィヴィリア……ではないよな。
船漕ぎの時?いや……
すると、鍋がグツグツと音を立て始める。
おっと、考え事をしている暇はないな。
さっさと調理してしまおう。
シチューを取り分ける。
いや……食べるのは自分1人か。
1人のくせして作りすぎたか?
ヴィヴィリアには鶏肉。茹でておいた。
猫は玉ねぎは食べれないと誰かから聞いた。
「助かる。」
「気にするなよ。
猫に料理は無理だろ。」
ヴィヴィリアは笑いながら答える。
「ハッ。
それもそうだな。」
「味はどうだ?」
「まぁまぁだな。
まだまだ上達のしどころはある。
ただ美味いぞ。悪くない。」
二人だ。いつも通りの食事のはずが、何故か少し寂しい。理由は分からない。
何かが足らない。
今日から3日間、仕事を探す。
という体ではあるが、私はついでに町を見てまわれたらと思っていた。
実は、この街のほとんどが探索していない場所だった。
この機会に見て回りたいという気持ちは強かった。
とはいえ、最初に向かったのは既に立ち寄ったことのある酒場だ。
荒くれ者が仕事を探すといえばここではなかろうか。
賭場は今日も盛り上がっている。
飲み場は……色んな人がいるな。
やっぱり1番多いのはガタイがいいやつらだが、意外も意外、私と同じぐらいの年齢の2人組がいた。
1人は茶髪で小柄の少女。
1人は白髪で前髪が長い男。
そういう人も酒場にいるのだな。
なら私もそこまで場違いという訳ではないか。
まぁ……1番知ってそうなのはマスターかな。
ハゲで髭ズラのマスターに声をかける。
「飲み物をくれ。」
マスターはジョッキを拭きながら答える。
「何がいい?」
「そうだな……
ハーブティーで頼む。」
「酒場に来てまでハーブティーかよ?」
「話をしに来たんでね。」
マスターはハーブティーを私の目の前のカウンターに置く。ハーブの香りが漂う。
そしてマスターはカウンターに手を乗せ、こちらの話を聞き始める。
「話っていうのは仕事だ。
元々やってた仕事を引退してね。
新しくなにか無いかな?と思ってな。
見たらわかるが、教養はないが、手は器用だぞ。」
「あぁ、酒場ってのはある意味そういう場所と考える奴もいる。
ただ、合法な仕事が回ってくるかは怪しいところだな。
何かを盗んでこい、だが、殺してこい、あるいは攫ってこい。
とかな。
それならいくらでも溢れていると思うぜ?」
私は顎に手を当てた。
「ふむ……
まぁ、どちらにせよ内容によるな。紹介してくれないか?」
マスターは笑いながら答える
「ガハハ。
良いっちゃいいが……」
中指と親指を擦る。
まぁ、そういうことだろう。
私は銀貨を2枚カウンターに置く。
銀貨1枚ハーブティー10杯分ぐらいだ。
相場は分からないが……こんなもんか?
マスターはニヤリと笑う。
「話が早いやつは助かるな。
明日、ここに呼んどくから、同じ時間にまた来い。待ってるぞ?」
「また注文させて利益を取ろうとしてるのか?」
「さぁな?」
「わかった。それでいい。
明日ここな。」
私は酒場を後にした。
日はまだ10時ぐらいか。
まだ時間はあるな。
ナナシの読書記録
色んな職業のアレコレ
36ページ
傭兵
あらゆる者から報酬を受け取り、
様々な依頼を受けるもの。
合法、非合法は問わず存在する。
一説によると、300年前の帝都が戦火に晒された際、雇われたのが始まりとされている。




