幕間その1 欠けた月光
見渡す限り、青、青、青。
うんざりするほど青に統一された部屋。
青の牢獄の中にいるのは、館長曰く、僕のソウル。
美しいたてがみを持つ獅子。
目には傷がある。
館長が言った。
「ソウルとは、お前の考え、気持ち、想いが反映されている。
ソウルと向き合うことは、自分と向き合うことでもある。」
なんて、知ったことでは無い。
僕からしたら、ソウルなんてソウルギアを使って呼び出すただの道具。
そもそも、獅子って。
僕と合ってないと思うけど。
僕は左目にかかった白髪の前髪を払う。
元はと言えば、この白が悪いのだ。
こんな見た目であるからこんなことに巻き込まれたんだ。
そんなことを言っても、夜はまた来る。
青にうんざりした僕は、街へ繰り出した。
向かったのは水道橋。
ここの雰囲気が好きだ。
苔むしていて、妙な匂いがする。またそれがいい。
ここで人々の様子を眺めるのが好きなのだ。
そんな中、変わった人を見つけた。
一見、小柄で茶髪の少女。
僕と同じか少し下ぐらいかな。
歩き方が変だな。そう思ってた。
右足を庇うような……。
おや?
あ、欠損してる。
足首がないのか。
大変そうだな……。
ま、関係ないけど。
関係ない——
「ねぇ。」
少女は驚いたような反応をする。
「大丈夫?足。」
少女は両手を振る。
「いや、大丈夫です。
心配かけてすいません。」
大丈夫には見えなかった。というか、勘がそう言ってた。
「そう…
僕にはそうは見えないけど…。
本当に大丈夫?」
少女は首を振る。
「そうだと思った。着いてきなよ。
趣味のいい家とは言えないけどね。」
僕は家…?ではないな。まぁ寝泊まりしてる所に帰った。
少女は困惑している。
「えっと……ここって図書館じゃ?」
「そうだよ。
僕はここで働いてるんだ。」
館長が顔を上げる。
「誰だ。そいつは。」
「困ってそうだから。
連れてきた。」
館長は相も変わらず無表情だ。
「そうか。」
館長は少女に顔を近付けた。
「お前もここの職員になりたいのか?」
「えーと。
そういう訳じゃないんですけど…
職を探してるのはそうなんですけど。
私これなので、役に立てるかどうか…?」
少女は自身の右足を見せる。
「構わん。大事なのは覚悟だ。」
やっぱり館長って適当なのかな?
まぁ、どうでもいいけど。
「お前、なんと呼べばいいのか?
名前はあるか?」
「私はラーナ・スローバット。
ラーナって呼んでくれると…。」
それが僕と彼女の出会いだった。
ここから少しづつ歯車は歪んでいく。
そんなことは今知るはずもないが…




