第19話 分水嶺
翌日だ。
やるべき事は分かっている。
あとはやるだけだ。
昼間のうちに装備を確認する。
ナイフ、フックにピッキングツール。
ラーナに私もソウルギアを使いたい。そう提案したのだが、強く拒否された。「こんなことをするのは私一人でいいよ。」と言われた。
さて、標的はここの領主、ガルバ・リーエス。
その館にあるはずの宝物を頂く。
そして、もはやこっちがメインだが、この街、ウェルゼガイエンの所属するフォースタス帝国の犯罪に抵触している証拠を掴む。
館に正面から入る策はない。
つまり再び夜に忍び込むこととなる。
早速館に着いた。
随分とご立派な館である。
「今回の侵入方法は?」
今回も柵が張り巡らされていたし、流石に頑丈で曲げることは不可能そうだ。
「魔力型切断装置を使う。
そして、屋根裏を通る。」
「なんだそれは?」
「魔力を極薄く展開することによって、固いものでも力を入れずに切断できる。」
そんな便利なものを一体どこで手に入れるのだろう。
この仕事が終わったら聞いてみるのもいいだろう。
魔力型切断装置の先が青く光り、極薄の刃が展開される。
まるで柔らかいパンを切るように柵が切断された。
ラーナがフックをかけて屋上に侵入する。
私もそれに続く。
もうラーナに手を貸してもらう必要はなかった。
しかし屋根裏に続いていそうな場所は見当たらない。
「ないね。
それじゃ作戦変更だ。
ここの建物は3階。
3階の窓から侵入する。」
するとラーナはフックの端を自分の服に括り付けた。
そしてもう片方の端を私に差し出した。
「上から引っ張っといて。
窓を開ける。」
ラーナは逆さまの状態で3階の窓に接触する。
流石に鍵が閉まっていたようで、ピッキングツールを取り出しピッキングを始めた。
私はその間もフックの片方を持ち続けていた。
するとフックの重さが消える。
どうやら中に入ったようだ。私もそれに続き3階の窓から侵入する。
長い廊下になっていた。
まず1番近くの部屋に入った。
ここは応接間か。
豪華なネックレスやペンダントが飾られている。
私たちはそれを根こそぎ皮袋に詰め、その部屋を後にした。
この階の他の部屋も探索したが、他は執事やメイドの部屋のようで、目ぼしいものは見つけられなかった。
なので私達は2階へと向かった。
一つだけ鍵の着いている部屋がある。
鍵は空いている。
中はどうやら領主の執務室のようだ。
となると、犯罪の証拠がある可能性も高い。
私達は片っ端から引き出しを開けた。
5つ目ぐらいだろうか。
日記帳を見つけた。
領主のものと見られる。
中を見てみると、
『今日も反抗的な家族を一掃した。
娘は泣き叫んでいたが、あれは傑作だった。』
だの、田舎の娘を騙して陵辱したなどの内容が悪気もなく綴られていた。
吐き気を催すほど醜悪な内容だった。
しかし。証拠には十分。
ラーナに合図を出し、我々は執務室を出て、3階へと向かった。




