第17話 書架
さて、買い物は終わったが、まだ外は明るい。
ラーナが教会の時計を見て一言。
「そうだね…
私は、これから友達の家にでも遊びに行こうかな。
君たちはどうする?」
肩に乗ってるヴィヴィリアが一言。もはやここが定位置となっていた。
「我々は図書館へ向かうぞ、ナナシ。」
「なんでお前が決めるんだよ。」
「理由は2つある。
ひとつはラーナの友と我々は知り合いでは無いので着いて言っても気まずくなる可能性が高い。
2つ、お前は世界を知らない。本を読み、知を蓄えるべきだ。」
私は降参するように両手をあげる。
「わかったわかった。
借りてる本も返さないとだし、行こうか。」
私は家まで借りていた本を取りに行ってから図書館へと向かった。
高いレンガ造りの塔のような建物。図書館だ。
相も変わらず中は青一色だ。
円状のカウンター席にあの目に黄金の紋章が刻まれている特徴的な図書館長が座っている。
図書館は私達だけではなく、1人、別の客もいるようだ。明らかに高級感のある服装を着ている少女だ。
金色の髪型は上部分だけをリボンで止めており、水色の外套が肩を覆っている。何枚かの布を組み合わせたスカートをしており、布はいかにも高そうだ。
どこかの貴族の娘であろうか。
しかし、こんな場所にいるものなのだろうか。
「いつまでそこに突っ立っているんだ。」
館長の声が響く。
少女もこちらを見る。
綺麗な顔立ちをしている。
ヴィヴィリアが私の肩からカウンターに降りる
館長がヴィヴィリアを凝視する。
「…魔法生物か?
どんなものだ?」
…なぜ見破ったのだろうか?
ヴィヴィリアも固まる
「…なんと。
私の素性を見破るとは。
如何なる術であろうか?」
少女がこちらを見て一言
「…え?
猫が喋ってる…
え?」
私は少女に振り返って一言
「特別なやつなんだ。
魔法生物って言ってな。」
「いや、それは知ってる。
喋る個体は珍しい。」
「失礼。」
少女がヴィヴィリアに顔を近づける。
館長は無言でヴィヴィリアの頭を撫で始めた。
ヴィヴィリアは抵抗する様子も見せず、気持ちよさそうに目を細めている。
と、そういえば借りていた本を返しに来たのだった。
「館長さん。
そういえば、借りてた本を返しに来たんだった。」
3つの本をカウンターに置く。
少女が置いた本を見て、そして私の顔を見る。
「見た目に反して本なんて読むのね。
…すいません。少し失礼だったかしら。」
「いや、そんなことは無い。
実際これは人生で読んだ初めての本だ。」
さて、そろそろいい頃だろう。
「ヴィヴィリア。帰るぞ。」
ヴィヴィリアはまだカウンターで寛いでいる。
「いや…ナナシよ。
私はずっとここにいる。
ここの方が心地いいぞ…」
私にとってはそうではなかった。
全体が青で彩られた世界。
私にとってあまり落ち着けるものではなかった。
そして本当に家に帰って来ず、これからヴィヴィリアが図書館に入り浸る事が多くなり、気づけばヴィヴィリアの第2の拠点のようになっていた。
…館長は迷惑では無いのだろうか?




