第12話 ネクスト・ミッション
「さて…早速で悪いけど、次の仕事の話をしようか。
ターゲットはここから少し離れた港の近くにある倉庫。
魔法生物だよ。」
「魔法生物…また新しい単語が出てきたな。どういうことだ?」
「知らない。
てか魔法の本に載ってないの?」
私は魔法学初級の本の目次を開いた
ラーナも私の肩越しに覗き込んでくる。
1~魔法学における歴史
26~初級魔法の使用方法そして注意点
94~魔法植物、魔法生物
149~魔法学院について
…あったな。
「ほら、あったじゃん。
そんな私に頼りっきりじゃダメだぞ〜
いつ居なくなるかもわかんないんだからな〜?」
勝ち誇ったような目を浮かべて私を上から小突いてくる。
「馬鹿を言うな。ラーナが居なくなったら私はどうしたらいいんだ。」
嘘偽りない言葉だった。私が私でいられるのは彼女のおかげなのだから。
背中にズシリと言う感覚がする。ラーナが「ふーん…」私の背中に身を預けてきた。温かかった。
ラーナの体重の軽さに驚きつつ、本を開いた。
魔法生物とは、魔術により生態を変えられた生物のことであり、普通の生物とは異なる特性を見せる。
「そゆことね。
で、今回この街にそれが移動される。多分その後はオークションにかけられるのか金持ちに売られるのかどっちかだね。」
「で、盗んだ魔法生物をどこにやるんだ?」
ラーナは人差し指を立てる。
「いいところに気づいたね。
そういう保護施設があってね。そこに預ける。」
「それって儲かるのか?」
ラーナは人差し指を横に揺らし、チッチッチッと言う
「心配ご無用。保護費としてお金が貰える。」
「となれば、回収すれば利益が出るんだな。」
「ただ、今回は前回よりも厳重だから、少し策を練らせてもらった。」
私は腕組みしながら答える。
「策…と言うと?」
ラーナが地図を開きながら答える。地図の上で、この街ウェルゼガイエンよりも北を指す。
「この都市から少し離れた北から取引官が来る。」
今度はターゲットの倉庫を指差す。
「で、ターゲットはここ。見たらわかるとおり、こっちの都市の方が結構近い。
だから私たちは取引官になりすます。」
「それは…上手くいく算段はあるのか?」
謎の名刺のようなものを取り出す。
「じゃじゃーん!」
「なんだそれは?」
ラーナは名刺を揺らしながら答える。
「取引官の引渡しの証。」
「偽造したのか?」
ラーナは自慢げな顔になる。
「君はどうやら、私のソウルギアが何か忘れているな?」
まさか。
「その通り、本物で〜す。」
思わず額に手を当てた。
なんとも恐ろしい女である。
しかし、また彼女の胸には傷がひとつ増えたのか。




