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√真実 -045 大人と子供



「は~い、三日間、修学旅行お疲れさまでした~。間もなく京都駅に到着です~」


 ザワザワと落ち着きの無くなったバス車内に、ガイド(七夕美佳)の声が響き渡る。昼食を兼ねた自由行動を終えた後、集合場所からバスに乗って帰路に着くのだが、当然バスは初日と同じバス会社でガイドたちも同じ顔触れだ。

 そして間もなく、その三日間世話になった観光バスともお別れだ。とは言え、初日こそ半日を共にしたものの、昨日と今日は京都と奈良の間を移動する一時間余りの短い間だけである。初日にガイドと仲良くなった女子生徒も名残惜しそうではあるが別れが辛いという程でもなくテキパキと荷物を片付けている。


「……なあ、祐二。どうするんだ? 声は掛けないのか?」


 京都駅の向かいにあるバス専用の発着場に着きみんなが降りるのを見送った後、華子たち女子も降りると、最後まで残っていた祐二に智樹が声を掛けた。


「いいんだよ、もう。むこうはもう大人で、おれはまだまだガキだったって事さ」

「……そうか。まあ何があったのかは知らないけど、いろいろと世話になったんだ、礼は言っておけよ?」


 ああ分かっている、とぶっきらぼうに答える祐二。

 手を貸す智樹は勿論、祐二の荷物持ち役を買ってでて残っていた真実も、初日の夜から祐二の様子がおかしい事は気付いていた。しかし、本人は言葉を濁すばかりで何があったのかまでは聞き出せていないが、初日の日中はバスガイドの美佳にご執心だった筈。

 それが昨日まではぎこちないというか大人しかったが、今朝あたりから以前の祐二に戻っているようだった。何か吹っ切れたのか、それとも……。


「は~い、お疲れさまでした~。足元に気を付けてくださいね~」


 バスを降りようとする祐二に、美佳が最後の言葉を掛ける。

 バスが止まる前に機会があればこのバス会社をご利用くださいと案内していたが、今年で中学を卒業し再び京都奈良を団体旅行する予定のない祐二たちがこのバス会社を利用する事は先ずないだろう。よってここで別れれば再び会う事はない。

 想いを伝えるのならこれが最後のチャンスだ。

 松葉杖を手に、祐二がバスを降りるのを中から智樹と真実が見守る。バスの外でも光輝、綾乃、そして華子がその様子を見ていた。


 観光バスは座席下に荷物室(トランク)がある為に床が高く、入口の階段が結構な高さがある。

 その荷物室の必要がない路線バスでは今は低床バスが主流となっているが、大きなタイヤハウスが出っ張っている為にその効果は限定的で、前方への通路と前輪後輪の間の客室だけだ。

 対して観光バスは快適重視の為に床をフラットにする必要があり客室へのタイヤハウスの出っ張りは極少となるよう設計されている。そして出入口はそのタイヤハウスとフロントパネルとの間の僅かな空間を利用して作られている。邪魔でしかないフロントタイヤハウスの上は、右側は運転席が設置され、左側のデッドスペースは冷蔵保温庫等が設置されている。前方の出入口側は云わば壁で手摺りが付いているだけだ。

 要は元々デッドスペース利用なので狭い。


 松葉杖の祐二が降りるにはその出入口は少々幅が狭いのだ。その上段差も低くはないので、バス会社が用意した踏み台を使うのだが、その幅も松葉杖を突くには心許ない。

 しかし、初日に失敗して美佳に助けられてからは慎重に乗り降りしているのに加え、元々の運動神経の良さであっと言う間にコツを掴んでいた。態と失敗して美佳の助け(ラッキースケベ)を狙うような事は断じてしない辺りは誠実だと言えよう。


 だが、そのまま無言で美佳の前を素通りしようとする祐二。

 その仕種に思わず口を出そうとした真実を、助言をした智樹が肩を掴んで止める。


「……初日は悪かった。助けてくれたのが嬉しくて、ちょっと有頂天になってたみたいだ」


 美佳に背中を向けた祐二が立ち止まり、美佳が視界に入るかどうかくらいに顔を横に向けて、美佳に届くギリギリの声量で口を動かす。すると美佳は、少し困ったような顔を見せつつも、その祐二の言葉に返事の言葉を返す。


「いえ、お客様が怪我をしないようにサポートするのは私たちガイドの勤めですから……」

「……だよな。うん、分かってた。優しくしてくれたのは仕事だからなんだよな。なのに、おれ……」

「えっ!? あ、いやその……それは仕事だからってだけじゃなくて、本当に怪我をさせてはいけないと思ったから、咄嗟に体が動いただけで……」

「ははは。やっぱ優しいな、ミカさんは。おれが……いや、客たちみんなが(・・・・)好きになる訳だ」

「……え?」


 いつそんな話をお客である祐二の前でしたのだろうと戸惑う美佳。思い当たる節はないが、どこかで聞かれていたのか、他のガイド仲間から聞き出したのか……いや、そんな時間的余裕は無かった筈だと首を振る。


「で。結婚はするんか?」

「……え!?」

「付き合ってんだろ? あの運転手と。好き合ってるんなら大人なんだからそういう話になるのは当然なんじゃないのか?」


 いや、大人だからこそ、そう易々と結婚という選択肢を選べないのよ、と二十一歳という若さの美佳は心の中で叫んだ。

 相手の七五三掛(しめい)は二十六歳、五つ違いだ。周囲の同級生だった友達は同い年かちょっとだけ学年が上の人と付き合っている者が大半で、何れも学生なので結婚という話までは進んでいない。同級生の中にも既に結婚した者はいるにはいたが、遊び人ばかりのグループの子で、デキちゃった婚をした挙句に子を産んだ後に離婚して苦労していると噂で聞いている。周囲での前例がそのような失敗例しかない為、相談してもまともな答えが返ってこない。

 そんな状況では七五三掛を信じて結婚するという選択肢が正解なのかどうか自分では判断が付かなかった。そもそも七五三掛からのプロポーズを、ただのノリで口にした冗談だと一昨日まで思っていたのだ。仕事が一段落して気が弛んだタイミングで本気だったと打ち明けられて絶賛戸惑い中の美佳に、祐二の純粋すぎる質問は美佳の心を震わせた。

 と同時に、その時(一昨日)の話を聞かれていた事を察した美佳。七五三掛ともども気を付けないとと反省する。


 しかし、大人なんだから(・・・・・)結婚するのは当然、か……そう心の中で反芻する。

 プロポーズされたんだと自覚したものの、この二日程は大人なんだから簡単に結婚という選択肢を選ばずにちゃんと考えなければと悩んでいたが、法的にも経済的にもまだ結婚できない年齢の中学生(祐二)からしてみれば自分たちは大人なんだから好き合っているのなら結婚して当然なんだと……。立場の違いで丸っと反対の思考になっていた事に気付かされ、自然とその言葉が胸にストンと落ちた。


「ふふふ。お客様……布田君の方がずっと大人ね。そうね、まだ返事してないけど、たぶんあの人と結婚するかも」

「……しろよな、結婚。でなければ許さないからな」

「……はい、分かりました」


 祐二の言葉に対して、意外や素直に頷く美佳。

 端から見れば、取り敢えず格好だけ頷いておいてその場を静めようとしているように見えるかも知れない。しかし、この時の美佳はそうではなかった。


「布田君は中学三年だから、十四歳か十五歳なのよね? 私と六つも七つも年下なのに、私よりもハッキリと答を出せるんだから凄いわね~」

「ふんっ! 何の力もない中坊の何が凄いんやら……」

「凄いわよ~? でも気を付けてね、女の子は大人になるのが男の子よりも早いんだから。あなたたち男の子は十八にならないと結婚出来ないけど、女の子は十六で結婚出来ちゃうんだからね~。うかうかしてると、あと一年や二年もすれば横から誰かに取られちゃうかも知れないわよ~?」


 チラリと祐二の向こうに視線を移す美佳。

 そこにはじっと祐二を待つ一人の女子の姿が。そして更にその向こうに視線をやると、先に降りた生徒たちにバスのトランクから荷物を出して渡す七五三掛の姿。すると、慈しむような美佳の視線に気が付いたのか、七五三掛がチラリとこちらを見るとキリッとした顔を見せる。しかし、美佳のいつもとは違う表情に首を傾げて目を瞬かせたが、荷物を要求する生徒に促されて慌てて仕事へと戻った。


「女子は十六で結婚……それはちょっと問題だな」


 チラリとすぐ近くに寄ってきた華子を一瞥すると、眉間に皺を寄せる祐二に、美佳は大事にしなさいねと声を掛けた後、智樹と真実を送り出し、車内に戻っていった。バスの外から見上げれば、座席等に忘れ物がないかのチェックをしている美佳の姿。直ぐに仕事モードに移った美佳を見て、やっぱり自分はまだまだ子供だと自覚する祐二だった。




七五三掛しめい 雅也まさや


壱継×井蛙

真実昼

祐二×ガイド

安産御守り

夜早い


木林寺の親:あっそう、仕事中なんで


ヒョロ・比和(ひより) 楼太(ろうた)

木林寺(きりんじ) 織音(おりおん)

体育教師 邨越(むらこし)


ボクサー避ける理由:ボクサーには敵わない+真面目なボクサーは手を出さないからボクサー側が圧倒的不利になる(こちらが悪くなる)


 養護教員(保健室の先生): 養護教員:伊井山 美鈴(25)独身(教員歴3年・二番目に若い) 柔らか口調 苗字+さん付け(男女とも) あなた、あなたたち ・友達に誘われて道場に体験入学した事あり

   渾名:男子から美鈴先生・美鈴ちゃん 女子から美鈴先生・みっちゃん先生

    真実:伊井山先生→美鈴先生 智樹:みっちゃん 祐二:ミっちゃん先生 光輝:伊井山センセ→美鈴センセ 綾乃:美鈴ちゃん先生 華子:美鈴チャン


 級長  麻野克俊かつとし♂ 僕 苗字呼び 女子は苗字+さん付 中学クラスで智樹と人気を二分する(智樹からは麻野)

 副級長 多鍋幸紀ゆきわたし 苗字+くん、さん 同、マドンナ(明るい)(智樹からは多鍋)

 後期副級長候補だった:南之みなみの智美さとみサッチー 大人し目、可愛い系


特に壱継は口の中を切ったらしく、ペッと吐いた唾に血が混じっていた。


 壱継修治 おれ コウ(耕造) シロウ(史朗) 世津屋 醐島田 睦美 テメェ 伊井山

 仁之瀬耕造 俺 修治 史朗 久美 沙耶 菜々子 美鈴ちゃん(伊井山)

 味下史郎 関西弁 わい ヒィ(壱継) ニィ(仁之瀬) ヨツ(世津屋) ゴト(醐島田) ムツ(睦美) ミッちゃん(伊井山)

 世津屋久美 クミ シュージ コーゾー シロー サヤ ナナ ミスズセンセ(伊井山)

 醐島田沙耶 あたし (ヒト ニノ ミッカ クミ ナナコ  

 睦美菜々子 あたい きゃはは イッチ ニノっち ミック クミっち サヤっち ミっちゃん(伊井山)


松葉杖→予防線

予定》清水寺→二年坂→安井金比羅宮→昼食→電車→伏見稲荷

清水寺→×三十三間堂→駅(昼に牛かつ)→★事件→(渉成園/東本願寺(清水から30分)→電車→伏見稲荷)

松葉杖の男の子

三日目 奈良公園→春日大社→若草山ふもと一重目 徒歩15分入山料150円


ま、間に合った~!

でも次話もピンチ……

時間が取れない&良い言い回しが浮かばないの二重苦に陥ってます~!


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