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強くなろう。
幼いころ、雫は川で遊んでいて流されかけた。それを助けたのは、同じく幼い李玖だった。
李玖は必死で雫を引き上げ、自分はいくつもの傷を作った。
雫は泣いた。自分のせいで李玖が怪我をしたことがつらかった。
李玖は笑った。これで、ぼくは雫の専任護衛になれるかな。そう言って。血を流しながら、いつものように笑っていた。
強くなろう。
李玖が怪我をしなくてもいいように。自分の身は自分で護れるように。
幼いころ、李玖は修業が嫌いだった。誰かに攻撃して、その誰かが自分のせいで怪我をすることが怖かった。
けれど隣にいた雫は、自分のことを忘れられる恐怖と戦っていた。その恐怖から護りたいと思った。理由はたぶん、川辺で見た泣き顔だろう。あの時雫は、誰かに忘れられて傷ついて、泣いていて足を滑らせたのだ。
強くなろう。
雫が傷つかなくてもいいように。強がりの雫が、強いままでいられるように。
強くなろう。
いつまでも、二人一緒にいられるように。




