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SHIZUKU  作者: 露刃
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12/19

「じいさんが」

 滅多に見ない夢を見たのは、李玖に昔話をしたからに他ならないのだろう。

 目の前で、母親が泣いていた。泣きながら、何度も繰り返していた。


――雫。ごめんね。どうか、あの人を――。


 約束は守るよ、お母さん。


 起きた時、雫は泣いてはいなかった。夢を見ようがなんだろうが、雫は二度と泣かないと決めている。


「雫、おはよう」

 カーディガンを羽織ってリビングに出ると、李玖がエプロンをかけて朝食の準備をしていた。味噌汁のいい匂いが漂ってくる。

「…おはよー。昨日は悪かったわね、運ばせて」

「軽かったよ」

「じいちゃんは?」

「朝刊を取りに行ってる。……そういえば遅いな」

「え」

「おい」

 滅多にないことだ。沙羅から声を掛けてきた。それで、雫の顔が強張る。

「じいさんが攫われたぞ」

 雫の動きが止まった。

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