表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無資格勇者  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/70

scene69 共闘

炎の魔人の亡骸の前で呆然としていた。

息苦しい空気が俺の周りに充満していた。

「俺たちを...完全に消し去る気かよ」

「消されたくなければ大人しくしていればいいわ」

フレグラは一切の躊躇なく答える。

その冷淡な一言は俺に出来ることがないと伝えているようだった。

その時...ふと空気が歪むのを感じた。

昼間のはずなのに光が急速に薄れ影が広がった。

それはまるで世界に蓋がされたかのようだった。

俺は空を見た。

「おいおい...夜にはまだ早い時間だぞ」

ルナが目を細める。

「夜って言うか...影...?」

レディアナも空を睨む。

「夜というか…影だな...何かに覆われている…」

次の瞬間それは現れた。

空間を裂くような妖しい光とともにゆっくりとそれは降りてきた。

圧倒的な威圧感。

視界に入ったそれは、本能が拒絶していた。

ルナが低くつぶやいた。

「…竜魔王」

フレグラの口元が歪んだ。

「来たわね」

俺は思わず乾いた笑いを漏らした。

「おいおい...いきなりラスボスかよ。急すぎるだろ」

軽口を叩いてみたが...威圧感は半端ない。

竜魔王が降り立つ...大地が揺れ重力が増していく。

巨大な翼、黒く輝く鱗、そしてすべてを圧倒する存在感。

確かに...他の魔族とは格が違う。

それだけは理解できる。

フレグラが叫んだ。

「魔道兵、用意!」

兵士たちが展開し竜魔王を取り囲んでいく。

無数の魔法陣が展開される。

「撃て!」

無数の光が放たれ束となり空間を埋め尽くし竜魔王に降り注ぐ。

それに対して竜魔王は、ただ腕を振り下ろしただけ...。

それだけで衝撃が爆ぜ魔道兵が紙人形のように吹き飛ばされ消えていく。

魔法は竜魔王には一切届かない。

フレグラの目が見開かれる。

「...無効化が通じてない」

あきらかに存在資格による無効化は通用していない。

「おいおい本格的にピンチじゃねえのか」

あきらかに次元が違う存在だった。

吹き荒れる魔力の余波で地面が砕け、空気が震えた。

「くそっ」

俺は前に出て魔法を放とうとする。

「無駄よ。勇者は下がりなさい」

フレグラが鋭く俺を制した。

「でも、このままじゃよ...全滅だぜ」

「あなたが行っても全滅よ」

次の瞬間、竜魔王がゆっくりと腕を掲げた。

黒い光が、解き放たれ、空間そのものを侵食するような異質な波動を放った。

「!!」

俺たちの身体が揺らいだ。

身体...違う存在そのものが揺らいだ。

輪郭があいまいになり色が抜け落ちていく。

完全に世界から切り離されていく感覚。

「まずいぞ…!」

レディアナに焦り表情が見れる。

「存在が...消される...」

ルナが低くつぶやいた。

しかし、抵抗する手段がない。

触れることも、踏みとどまることも出来ない。

ただ消えていくという感覚だけがそこにあった。

「なんにも...できねえのかよ…!」

悔しさだけが残り...膝から崩れ落ちそうだった。

その時...。

「魔道兵、勇者を守れ!」

フレグラの声が響く。

兵士たちが即座に動き三人と囲むように陣形を組む。

一斉に唱えられた呪文から光が生まれ幾重にも重なりあった。

それが一つの幕になり俺たちを包み込んだ。

魔王の黒い影と光の幕がぶつかり合う。

薄れていた輪郭が徐々に戻り、質量が戻っていく。

俺という存在がそこにあった。

「…どういうことだ?」

フレグラが答える。

「魔族の魔法を研究して生み出した”資格制御”...さらに、それを無効化する魔法よ」

ルナが息を吐く。

「そこまで...考えての資格制御魔法…」

レディアナが苦笑する。

「まさか助けられるとはな」

フレグラは首を振る。

「まだ不完全よ。長くはもたないわ 」

光の幕がわずかに揺らぐ。

幕の外には竜魔王が悠然と俺を見下ろしている。

その視線...理解している。

竜魔王はこの防御がいずれ崩れることを理解している。

時間はない...だが打つ手もない。

俺はフレグラを見る。

「俺たちを助けるなんてどういう風の吹き回しだ?」

フレグラは振り返らず答える。

「お前たちを助けるんじゃないわ。竜魔王を倒す為によ」

その言葉は即答だった。

「人の力じゃなくて?」

ルナが問う。

「そのつもり...でも少しだけ早すぎた...それだけよ」

竜魔王の咆哮が魔法の膜に衝撃を与え空気が裂ける。

「竜魔王の力までは、まだ完全には制御できない...それにその先もある」

「先?」

俺の問いにフレグラは答えない。

竜魔王だけを見ていた。

「ふん、まあいい、先の話なんて後だ。先の前に目の間だ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ