scene53 存在する力
再び王城に戻った俺たちに迷いは無かった。
「こっちだ。フレグラなら研究室にいるはずだ」
複雑な迷路のような場内を迷いなく行くレディアナ。
俺とルナはレディアナについていく。
レディアナは一つの扉の前で立ち止まった。
「ここだ...」
そういうや否や、レディアナは躊躇なく扉を蹴り開けた。
轟音とともに重厚な扉が内側へはじけ飛んだ。
その先に広がっていたのは...無数の魔法陣が刻まれた床。
紫の光が脈打ち、空気そのものに歪みを感じさせる禍々しい気配が俺の肌を刺してくる感覚。
「あら…戻ってきたの?」
フレグラが口元に笑みを浮かべながら静かな声で離す。
「せっかく見逃してあげたのに...」
「何をした?この魔法はなんだ?」
レディアナが一歩前に出る。
「俺が殴り倒そうとした奴が死んだんだが…?」
フレグラが一瞬、視線を上げ何かを思い出したように話し出した。
「ああ…不正に資格を取得している輩ね」
「興味なさそうだな」
俺の言葉にフレグラは肩をすくめる。
「死んで当然に人間よ」
その言葉は冷たく凍っていた。
フレグラは俺とルナを交互に見ながら言葉を続けた。
「そんなことよりも...あなたたち、この状態でも存在が消えないのね」
「消えない?どういう事だ?」
全く意味が分からなかった。
「そのままの意味よ」
フレグラは楽しそうに微笑んだ。
俺に近づき、言葉を続ける。
「褒めてるのよ。あなたたちの存在する力を」
「存在する力...なんだそれは?」
存在するのに力?
「何を言っているんだ?」
「王家は勇者の存在を消そうとている...王家は勇者を望んではいない...そういう事かしら?」
フレグラは首を横に振った。
「いいえ、望んではいるわよ...ただし...本物の勇者をね」
「本物...私たちが偽物だとでも?」
押さえてはいたがルナの語気は強い。
「じゃあ、聞くけどこの光の中でも力はつかえるのかしら?」
フレグラの問いは挑発に近いものを感じた。
だが、俺は...。
「使ってやろうじゃねえか...死んでも文句言うんじゃねえぞ」
完全に挑発にのった。




