scene52 代償
ざわ…ざわ…としたざわめき。
町の空気が変わった。
通報でもされたのか...一瞬の恐怖...。
だが、誰も俺を見ていなかった。
見ていたのは空。
その空には深い光の幕が、町全体を覆うように広がっていた。
それはまるで天蓋のように静かに、そして確実に閉じていった。
「...あの光、資格制御の光と同じだぞ」
「ぐぅあぁっ!!!」
叫び声が聞こえた。
普通じゃない。
俺たちは叫び声がする方へ走った。
そこにはギブスが倒れていた。
首の後ろのあたりを抑えながら苦しんでいた。
「ギブス!」
近づくと首筋の資格証のあたりから血が流れている。
「どうした!何があった!」
ギブスと視線が合う...その表情は恐怖に怯えていた。
「ギブス!」
ギブスからは何も帰ってこなかった。
ギブスは死んだ。
何が起きている…?
「一旦町から離れたほうが良いかもしれないわね」
ルナの声の判断は正しい...だが...。
「王城へ行く」
「は?殺されかけたばかりだぞ?何を考えている?」
「光は王城付近から出ている。行って確認するべきだ」
「死に行くようなもんだ」
レディアナの指摘も正しい…それでも。
「資格制御だったとしても...俺が原因な可能性が高い。
町にはまだ資格がない人間だっている。
そいつらを犠牲にするわけには行かない」
責任感とか覚悟とかそんなもんじゃなかった。
ただ、俺が行ってケリをつける。
資格がどうとか制御がどうとか、そんな面倒な世の中を一発殴ってやりたい。
それだけだった。
「あんた、相当バカね。でもまあ良いわ。この状況から逃げててもいつか逃げ切れなくなる。勇者の先輩としてついていってあげるわよ」
「バカは二人ともだ...だが...嫌いじゃない。私も行くぞ。王族に名を連ねるものとして確認する義務がある」
こうして俺たちは王城へ戻る。




