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無資格勇者  作者: 南蛇井


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14/59

scene14資格とは

やがて。

王都へ着く。

二度目の王の間。

前回は勇者として、今回は犯罪者としてだが...。

王の前へと連行される。

重厚な空気に気持ちが押しつぶされそうになる。

犯罪者と言うだけでこんなにも圧がかかるものなのだろうか...。

王がゆっくりと口を開いた。

「無資格な勇者よ」

その声は静かで落ち着いていた。

「なぜお前は戦う?」

王の問いに対し俺は顔を上げ視線を合わせる。

「資格がないのだ。戦う必要などないはずだ」

俺は一瞬言葉に詰まる。

王の理には一点の曇りもない。

それでも...。

「人が...困ってるんです」

拳に力が入る。

「俺なら...俺なら出来るんだ。助けることが出来るんだ」

王は目を細めた。

「無資格に何が出来るというのだ」

声は重く冷たい。

「正しいやり方が理解できていない。

 知識不足は事故を招くだけだ」

「それでも...」

「資格とは、知識と責任の証明だ」

王の声が重く低く響く。

「力だけでは秩序は守れぬ」

王の言葉に俺は何も返せない。

そして王は視線を移した。

「ティア」

名前を呼ばれ、背筋を伸ばす。

「そなたはなぜ、この者に味方する

 お前は資格制度を守るべき立場では無いのか?」

空気が重く張り詰める。

「資格は大事だという事はわかります」

静かで小さな声。

「ですが...今の制度は不完全です」

 ざわめきが走る。

「見直すべき時が来ています」

その瞬間、王座の傍に控えていた宰相ナザエルが怒鳴った。

「貴様のような若輩に、制度の何がわかるか!」

ナザエルの顔が狂信的に歪み、俺の背筋を凍らせた。

「この美しく完璧な資格制度!世界の全てだぞ!」

ティアはひるまない。

「人々の生活に支障が出ています。

 今の資格制度では社会インフラの維持管理することは不可能です」

ナザエルは即座に反論する。

「それは資格を持った人間が足りないだけの事、

 そこの勇者のような無資格がうろついているからだ」

「それは…資格制度を変えなければ無資格も社会も変わりません」

ティアの声が初めてが強くなる。

王は静かに手を上げ、議論を止めた。

沈黙が落ちた。

しばらくして、王は告げた。

「ナザエルの言う通りだ。

 この完璧な資格制度のもと、資格を取ればいい。

 秩序なき善意は、混乱を生む」

王は俺たちを見下ろした。

「二人を牢へ。追って沙汰は出す」

衛兵が前に出る。

俺はティアを見る。

顔を伏せ唇をかみしめている。

鎖の音が響き、俺とティアは王城の牢へと連行された。


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