第27話 ダンジョンヴァレンタイン(前編)
今日は2月14日。
バレンタインデー。
年に2回しか無いチョコを渡す日。
店ではチョコレートが売られ、
人々はそのチョコレートを買う。
しかし、誰も、どの企業もダンジョン素材でバレンタインチョコレートなど作ろうとしなかった。
が、
鳩は違う。
現在真っ昼間のリリアルで、ある配信の予約が立てたれた。
ダンジョンヴァレンタインと言うタイトルにダンジョンがチョコになっているサムネ。
まさか……
と思った鳩のリスナーは配信に集まってきた。
―――チャット欄―――――――――――――――
『え?』
『バレンタインもなのか?』
『いや、誰にあげるんだよw』
『ダンジョンとバレンタイン……相反する2つの勢力が、この配信で1つに交わるのか?』
『今回はどんな配信になるのかな?』
『あと10秒だ!』
『つうか、何気に鳩のサムネ作ってる人結構凄いよな……この鳩が作ってたら更に凄いけど……』
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チャット欄が盛り上がっている中で配信が始まると、画面の前には鳩と田中さんが居た。
「みんなさんこんちには! ハトるんだよ! 今日は、ダンジョンの素材でバレンタインチョコレートを作ろうと思ってこの配信を立てたの!」
「どうも田中です……。これからは、ハトるんちゃんと一緒に配信をする事が多くなると思いますが、温かい目で見守って頂けると嬉しいです」
―――チャット欄―――――――――――――――
『ダンジョン素材でバレンタインチョコか!』
『良いなぁ〜』
『俺も食べたい』
『田中さんはもう完全にハトメンになったのか』
『周りを見た感じハトの家でもどこかのダンジョンでも無さそうだな……ここはどこなんだ?』
『どこ? ダンジョン素材でチョコを作れるところなんて限られてるけど……ガチで分からんな』
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「それでね、今日はバレンタインチョコレートを作るから大人数のほうが楽しいと思って、特別なゲストを呼んだの。てことで、みんな来てー!」
「甘いチョコは青き恋のもと……苦いチョコは苦難を越えた友の証……ビジョナーのみなさんこんにちは。ゲーム系配信者のミルクココアだよ!」
「チョコレート作りは人生初。チョコレート素材を砕くのは全て俺に任せろ……西郷の猿だぜ!」
「チョコレート作りとは……始まる前から結果が決まっている。素材選び、人選、調理方法……このメンバーで本当に大丈夫なのか? と思っている研究者の1人Dサイエンサーだ……よろしく」
画面の前に現れたのは、以前の異世界日帰り旅行配信の時のメンバーだった。
―――チャット欄―――――――――――――――
『きたぁぁぁぁぁぁ』
『ミルク……乙女ゲームに影響されすぎだろ』
『ミルクはこの前乙女ゲー配信してたからな』
『猿はなんの為に来たんだよw』
『猿がいる意味ほぼなくて草』
『Dさん……このメンバーの中で唯一まとも枠だな……マッドサイエンティストのくせに……』
『Dさんが言ってること意外と筋が通ってるw』
『Dさんが言ってる通りほんま不安やな……』
『俺、このメンバーで嬉しいよ』
『ありがとう……ありがとう……ぼっちバレンタインの俺にこの配信プレゼントしてくれて……』
『チャット欄みんなせっかちで草』
『判断が早いよ……まだ始まってないってw』
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チャット欄の盛り上がりとは別に、3人は異世界旅行後の出来事を語った。
「ハトるん〜〜〜〜私、ほんとに大変だったんだよ〜〜。ハトるんに買ってもらったあの椅子で滑走路を爆走する動画を出したら結構バズったんだけど、何故か国に回収されそうになっちゃったんだよ。家に来た役所の人が触れなかったからなんとかなったけど、本当にヒヤヒヤしたよ……」
「俺も大変だったぜ……あのダンベルで筋トレをしてたら家の床が抜けて……いまだに家に穴が空いたままなんだよ……。それに、あのダンベルがダンジョン法の武器防具の取り扱いの基準に違反してる? って言われて捕まりそうになったよ」
―――チャット欄―――――――――――――――
『そういえばそうやったな』
『ミルクはほんま可哀想……猿は自業自得』
『ミルクの動画見て爆笑してたのにそんな事が裏で起こってたんや……まぁ、冷静に考えてロケットエンジン並の椅子は法律違反……なのかな?』
『猿はあのダンベルを持って2階でトレーニングしてたからな……そりゃあそうなるだろw』
『猿のダンベル回収は、あのダンベル持ってダンジョン攻略してたからな……まぁ打倒だろ……』
『猿はガチでやらかしてるw』
『でもこの中で一番やばいのはDさんなんよな』
『猿とミルクだけでも十分ヤバいけどな』
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チャット欄も、西郷の猿とミルクココアも、Dサイエンサーを心配していた。
「俺はほんとに大変だったけど……」
「私もほんとに大変だったけど……」
「1番大変だったのは……」
西郷の猿とミルクココアがDサイエンサーの方を向くと、Dサイエンサーは最近のことを語った。
「私は連日、あの魔導ダイヤの解析をしてたんだが、突然国に情報を提供しろと言われてな。どうやら裏で政治が絡んでいるようだったので丁重に断ったんだが、断った後の嫌がらせがシャレにならなくてな……私の実家に頼る事になってしまったよ……。しばらくの間研究できそうにない。ほんっと……国が金銭を払うとはいえ、裏金と賄賂で溢れた金銭なんて貰うだけ損だから丁重に断ったってのに……あの議員……絶対に許さん」
―――チャット欄―――――――――――――――
『ガチで可哀想』
『Dさん実家が無かったらどうなってたんだよ』
『陰湿過ぎだろ……』
『あの議員は完全否定してたけどな』
『ふざけてる……』
『断ったDさん偉すぎ』
『マッドサイエンティストなのに……』
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3人がしばらく感傷に浸っていると、場の空気を変えようとしたのかハトが突然提案した。
「みんな色々あったんだね。じゃあ、今からチョコレートを作ってその気持ちを紛らわそうよ。嫌な気持ちの時は甘いもの食べた方が良いから!」
―――チャット欄―――――――――――――――
『だから今回呼んだのか……』
『ハトは優しいな』
『いや、ハトが諸悪の根源やろ……異世界で買わなかったらそもそもならなかったんやし……』
『↑それを言ったら、買ってほしいって鳩にねだったのはコイツラ本人なんやぞw』
『自業自得って言われたらそうなんやけどなw』
『それにしても国の対応は酷い……』
『こういう時こそ小動物の鳩なんよ』
『鳩からしか得られない栄養がある!』
『つうか……あれ? 田中さんからはそういう話は聞かないんやけど……どういうことなんや?』
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鳩と田中さんと3人は、気を紛らわすため早速チョコレート作りを開始した。




