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第2話 人知を超えた鳩

平和の象徴である白い鳩が、数あるダンジョンの中でも特に獰猛で危険なモンスター……クマ帝と象蜂を解体していた。



「クックーククク」



鳩の翼から出た白い羽根が空中を舞い、モンスターのお金になる素材だけを剥ぎ取っている。




―――チャット欄―――――――――――――――


『なんだこれ?』


『スキルか?』


『人間以外もスキルって持てんの?』


『いや持てないぞ』


『あの羽根強すぎだろ』


『的確に素材を剥ぎ取ってるぞ』


『また鳩語になってるな』


―――――――――――――――――――――――




「あっ……何個か質問が来てるから答えるね」



鳩は急に人語を喋ると、空中を舞っている白い羽根を画面いっぱいに映した。



「これは、天空スカイ羽根フェザーっていうスキル。簡単に言うと、私の翼から羽根が分身して空中を舞う感じかな。結構便利だよ!」




―――チャット欄―――――――――――――――


『草』


『また流暢に喋り出して……』


『同接200なのにチャット欄が速いな』


『内容が内容だからだろ』


『つうか何気にこの鳩凄くね?』


『確かに』


『よく考えてみたら、操作系スキルって発動種のスキルの中でもかなり高難易度なのに、この量の羽根を1匹の鳩が正確に動かすのってエグいな』


『裏に居る奴がスキルを発動してんだろ』


―――――――――――――――――――――――




          ◆◆◆




ダンジョンが現れ、長い年月と共に判明した事がいくつかある。


その中でも特に重要で、人類を劇的に成長させたのが、スキル……そして法と術だ。



スキルは謎が多く、全ては解明されていない。


だが、多くのスキルは主に2つの種類に分かれている事が判明している。



それが、発動種と常在種だ。



発動種の中には、操作系、放出系、創作系、概念系と多岐に渡り、その共通点が、任意で発動できるという事だ。


発動種は、保持者以外にも影響を与えるのだ。



常在種には、異形系、体内系、耐性系、身体系と分けられてあり、その全てが、スキル保持者にのみ影響すると言う事だ。



そして、スキルの取得方法は2つあり、ダンジョンに入った人間が、成長する過程で取れる後天的なものと、ダンジョンに入る前から持っている先天的なものがある。


しかし、現代の研究では、何故人間にしかスキルを持てないのか……謎に包まれている。



一方で、法と術は人間以外でも取得できる事が判明している。


それを証明するのが、法生物と術生物だ。



法生物は、魔法や呪法など、ダンジョンが誕生してから今に至るまでの過程で、環境に適応する為に進化して得る事ができ、生物の体内にある法と呼ばれる力を使う。



術生物は、魔術や呪術など、得た過程はほぼ同じだが、術生物は法生物よりも過酷な環境に適応する為に生物の体外にある術と呼ばれる力を使う。



変温動物と恒温動物のようなものだ。


だからこそ、スキルを使い、鳥の言葉だけでなく人間の言葉も使うこの鳩が異次元なのだ。




          ◆◆◆




「ごめん。まだ人間の言葉を完璧に話せなくて……。本当はもっと話したいんだけどね……」




―――チャット欄―――――――――――――――


『なんかガチっぽくね?』


『しょぼくれてるな……』


『画面の裏側でスキルを使ってる奴が居たとして、こんなにも鳩の言葉と体がリンクするか?』


『まさか、羽根を操作する発動種のスキルと、鳩になる常在種のスキルでも使ってんのか?』


『それか、鳩を操作してるな』


『だとしても、この練度と強さなら前々から誰かに見られて話題になっててもおかしくないぞ』


『何気に喋りながらスキル使うの凄いよな』


―――――――――――――――――――――――




鳩は解体が終わると、素材を白い羽根で持ち、再びダンジョン内を羽ばたいた。



「あっ……。言い忘れてたけど、今日は東京タワー地下ダンジョンの最下層にいるボスモンスターのモモタロウスに会うところまで配信するよ!」




―――チャット欄―――――――――――――――


『マジかよ……』


『あいつらを1人で討伐すんの?』


『↑いや、1羽だろ』


『この白鳩……モモタロウが操るモンスターの1体、キジと相性悪そうだけど……どうなんだ?』


『猿に翼を掴まれたらどうすんだよ』


―――――――――――――――――――――――




鳩は心配しているチャット欄を見ると『クルッポー』と発して、ダンジョン内をスイスイと飛びながら夢を語った。



「みんな心配してるけど全然大丈夫だよ。それに私の夢は、みんなにダンジョンの良さを……世界の良さを……楽しいって知ってもらうために、色んなダンジョンとか世界に行って、その様子を配信するんだよ! のんびりまったりしながらね」




―――チャット欄―――――――――――――――


『え?』


『いやいや……』


『ダンジョンって命をかけるもんだよ!?』


『色んな世界行ってってどういうことだ?』


『ダンジョンでのんびりまったりってこのチャンネル以外でそんなコンセプトは絶対に無理だろ』


『すごいな』


『一瞬良くある夢ねって思ったけど、よくよく内容を考えてみたらこの鳩の夢ガチでかすぎだろ』


『のんびりまったりか……』


『夢がエグいな』


―――――――――――――――――――――――




その後、雑談をしながらダンジョン内を飛んで行き、ボスモンスターが居る階層にたどり着いた。



「じゃあ、行くよ」



このダンジョンでも有名なモンスター。


港区に何故かいるキジ、サル、イヌ、人の4体。


最新の研究では、いつかくる挑戦者……鬼を待ち続けているのではないか?と言われているモンスターに、白い鳩は鳩流の戦い方をするのだった。

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