25.邂逅(その1)
・・・さぁ、出かけよう。僕はもう二度と過去を振り返らない。ファミコンとの今生の別れを惜しみつつも旅立つ日を迎えた僕は早速大阪駅に向かった――。
大阪駅周辺は改装工事が多く、来年にはJR東西線の北新地駅が開業するそうだ。
普通の人にはそれほど便利な路線ではないが、地元の路線上にある尼崎駅と繋がった事で、わざわざ混んでいる大阪まで出なくても、尼崎で乗り換えてそのまま京橋駅までアクセス可能となった。
そうするとそこから京都や奈良方面までそのままダイレクトで行ける、奈良の大仏や鹿にも会える。行動範囲が広がるのでそれだけでも嬉しくなる。
大阪は人口が多い割にはとても狭く、30分も電車に乗ればある程度どこにでも行ける。だから大阪市内に住むのであればはっきり言って車は不要である。
土日以外乗らない自家用車――。そのくせちょっと乗ればガソリン代、遠出しようものなら高速費用も掛かってしまう。他にも駐車場代、車検も2年に1回やってくる。
「動いても動かなくても金が掛かる金食い虫」それが自家用車だ。
それなのに何故皆、初任給でローンまで組んで車に乗ろうとするのだろう...。
僕には到底理解出来ない。が、彼女とドライブする為には必要なのだろう。
彼女が欲しいならやはり車は必要だ...。
僕は"彼女"は欲しいが、"車"はいらない。
(...そうだ、車嫌いな彼女を探すのはどうだろうか...。)
例えば、
「私、たばこはちょっと苦手で、たばこを吸う人は嫌いなんです。」
みたいな感じで、
「私、車に乗ると助手席でもすぐに酔ってしまいますので、車を運転する、ドライブ大好きな人はちょっと苦手なんです。」
(...そんな"天使のような人"を探すのはどうか...。)
・・・新しい冒険に際して、全く似つかわしくない妄想を悶々と抱きながら僕の旅は始まった。
今日お世話になる「倉敷ユースホステル」は美観地区を抜けて山の中腹にあるらしいので、先に色々と美観地区を散策してそれから夜に行けば良いだろう。
夕食も提供されているらしいが到着の時間制限もある為、今回は素泊まりで予約した。
その方が気が楽だ――。
JR倉敷に着いた僕は、駅で道を訪ね早速美観地区方面へ向かった。
地図も何も持っていないが"東京を除いて"日本の何処に行っても地元住民は旅人にとても親切だ。
僕は以前東京駅で道に迷い、駅で聞いても不親切な対応をされた事があり、それがトラウマになっている。その時偶々駅長さんが忙しかったのかも知れないが、そういう"人の記憶"はなかなか消えないものだ。




