23.いざ、扉を開け(その2)
・・・一泊2日分の下着と着替え、あとタオル3枚。それから相棒の"時刻表"だけをリュックサックにしまい込む。
(...何か忘れてる気がする...。)
(...あぁ、傘だ。折り畳み傘、それからこの前聞いた宿の電話番号のメモ、あとは不足があったら現地調達でなんとかなるはずだ、荷物は軽い方が良い...。)
簡単に旅の準備も終わり、さっきやってたNINTENDO64を片付け、押し入れの奥から10年前に買った初代ファミリーコンピュータ、ファミコンを探した。
カセットは、「ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…」
エニックス社が開発したRPGロールプレイングゲーム。日本中誰もが知っているタイトル、キャラクターデザインはドラゴンボールの鳥山明だ。
面白い事間違い無し。文句なし伝説のメガヒットゲーム!
スーパーファミコンでも当然リメイクされているが、そんな事は関係ない。
僕はファミコン世代、ファミコンの「ドラクエⅢ」がやりたいのだ!
(...動くのか?10年経つしな...。)
カセットを本体に差し、ドキドキしながら暫く待つ...。
「動かん...」
う・ご・か・な・い。
「何故?何故何故何故動かん??」
(...落ち着け、こういう時は深呼吸だ、中国の太極拳を思い出せ。"気"を整える合気道の精神を忘れるな。合気道...知らんけど...。)
取り敢えず本体からカセットを引き抜き、接続部分を思いっきり"ふぅー"と息を吹きかける。もう一度カセットを本体へ....。
「ターッタラタタたたたたたた・・・」
ブラウン管の無機質な黒い画面が急に華やかになり、冒険の始まりを告げるファンファーレも懐かしいドラゴンクエストの音楽だ――。
音楽を聴いただけで、数年間の歳月が錯綜し、一気に昔に戻った気になってしまうから不思議だ。一瞬、目頭が熱くなってくる。
「ドラクエ」はタイトルを重ねても必ずこの名曲が流れ、この曲を聴くと冒険の予感がいやが上にも高まる。
(...始めよう...。)
まずは主人公の名前も決める。名前は"ヨシ"。
もう3回はクリアしている、謎も全て分かっているのだ。最短で最終ボスに会いに行こう――。
この冒険の肝は当然"船"。船さえ手に入れればあとはボスの待つ城へ一直線。ふとある考えが閃いた――。
(...そうだ、どうせやるなら最低レベルの「レベル1」でボスに会いにいくのはどうだろう?...。)
(..."おっけー!"あぁ、此処に田川君がいない事が寂しい。今なら絶対田川君の"おっけー"をゲット出来たのに...。)
・・・そう思いつつも、僕はゲームに没頭していった...。
(...・・・・死んだ。死死死死死死...。)
モンスターは強敵ばかり、全てのモンスターが僕より圧倒的に強すぎるのだ。
一つの街から一つの街へ何度も何度も逃げて逃げて逃げまくって、それこそ50回連続で逃げて、その内たった1回でも「しかし、まわりこまれた!」の文字が画面に流れた瞬間に、ハイ、終了...。




