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人生  作者: yoshi88
:21歳 第三章 無智と無謀の偽善者は、今日も素敵なマスクを被る 
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10.運転免許証の価値

 一方通行、車両進入禁止、安全地帯...。


 日本には様々な交通標識が存在する。


 今まで自転車しか乗った事がない人にとって、なんとなく目にしていてもきっと「認識」してないと思い知らされた。自分が運転する状況になって恐らく初めて脳にインプットされた。それらの意味を瞬時に理解し行動しなければ、忽ち交通違反となり、最悪捕まってしまう...。


 もし不運にも事故を起こしたならば、20歳になっているのでつまり、"実名"で夕方のニュースに取り上げられて、その先の未来は明るいものとはならないだろう...。


 そこまで苦労して運転免許を取得する意味が本当にあるのか、今の僕には分からない。


 車好きの父親や同世代の友人のように車に興味があれば別の話だが、僕は特に車に興味はなく、免許を取得しても直ぐに車を購入出来る程、貯金も持ち合わせていない。


 ただ周囲の情報に流されて、社会人になったら仕事が忙しくなるから免許を取得しにくくなるとか、就職活動で不利になるとか、身分証明書になるから便利であるとか、そういう付随的な意味合いが強く、"車にどうしても乗りたい"

 という純粋で、明確な動機がまるでなかった...。


(...取り敢えず今は最短で合格して、さっさと此処を出よう...。)


 最短で合宿を終えるにはちょっとした工夫が必要だ――。


 "学科時間は1日に何時間受講しても良い"という事は、1日に制限のある技能実習時間を出来るだけ多く当たるようにスケジュールを組む必要があり、最後の方で技能実習でミスをしてしまうとそれは強制退去を意味する事になる。


  僕は時間割を綿密に考慮しながら取得する教習項目を決めていった。


  ヤッ君にも、


「こうすれば最短で免許を取得出来るから」


 と教えて、僕達は最短方法のスケジュールを一緒に申し込んだ。


 ・・・学科の方はちゃんと聞いていれば大抵の人は合格できるような内容で、わざわざ予習復習しなくても勉強についていけたが、技能講習はそう簡単には上手くいかない。


 頭で理解していても手足を連動させて車を動かす事は、運転初心者には容易ではないのだ。


 合宿に申し込む時に"マニュアル車"か"オートマチック車"を選択するのだが、車種に制限の無いマニュアル車はクラッチペダルとブレーキペダルの操作を覚える必要があり、マニュアル車で申し込んでいた僕は直ぐにエンストして、1mも進む事ができなかった...。


  そんな僕の運転を笑いながらヤッ君に見られていたが、ヤッ君の方は学科の授業に苦労していた。


  絵のマーク、交通標識は何となくイメージ出来るが、小学生で習った漢字以外"文章が読めない"ので教科書に何と書いてあるか分からない...。


  最初の授業で早くも途中で諦めようとしそうになるのを、授業後に僕がもう一度読み直し教えて、なんとか授業についていった。


「こんなにちゃんと勉強したのん、初めてやわ。ヨシ兄有難う。」


 不意に言ってきた外見からは不釣り合いの言葉につい、


(...いい奴かも...。)


 と思ってしまう。


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