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人生  作者: yoshi88
:1.17 第一章 始まりの物語
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2.家族

1月17日。一昨日成人式も無事に終え、法律的にも社会人と言われる年齢になったが、実家暮らしの僕にはその自覚はまだない。何時もの生活習慣からなかなか抜け出せずに昨夜もだらだらと過ごしていた僕は、学生の延長みたいな気分で布団の中で微睡んでいた。――5時46分。


淡路島北部の北緯34度36分、東経135度02分、深さ16kmを震源とするマグニチュード7.3の超巨大地震が、何の前触れもなく何一つ音沙汰もなく、関西方面を襲った――。


「ドン!!!!」


爆睡状態の僕はその瞬間、激しい揺れに一瞬で目を覚ます!


地面が下がるような?...いや、突き上げるような地響きと共に、最初は何が起こったのか全く分からなかった。


生まれて一度も感じた事が無い縦揺れと、建物全体がまるで地下鉄の車両のように轟轟と揺れている...。


(...地震だ!...。)


ゴォォォォンという鋼鉄を打ち響くような轟音と軋むような騒音は凄まじく、それは体感時間・・・間隔では30秒以上も続き、外の電線が何かに引っ張られて、バチバチ、バチバチと青白い光と火花を放ちながら、まるで細い凧糸のようにどんどん千切れていく。


「バチン!」


と言う大きな音を合図に、一瞬で外は墨汁を垂らしたような濃い色に染まる。


僕は咄嗟に小学生から愛用している勉強机の下に隠れ込んだが、隣で寝ている弟の事が気になった!


(...いつ崩れるか分らない!...。)


・・・揺れる六畳一間の和室の中で、無意識の中、気づくと弟の上に被さっていた...。


開きっ放しの引き出しからは文房具やら写真が激しく飛び出して来る!


机から流れ落ちる広辞苑、電気スタンド、アルバムから僕達は必死に"命を守る態勢"を試みる。


・・・どれくらい時間が経っただろう、ようやく揺れが収まった。


息を整えながら部屋を見回すと、キッチン棚は全て倒れ、母が"急なお客様"が来客した時の為にとっておいた大事な、一度も使っていないティーカップの一(そろ)いが無残にも形が分からない程激しく砕けて転がっている...。


(...父、母は大丈夫なのか?...。)


(......。)


それまでなぜか考えなかった微かな不安が、今はどうしようもなく気になって気になって仕方がない。


無音の闇の中で、ふと眼の前に普段とは明らかに違う違和感を覚えた――。


・・・何時もはリビングの"右側"に立っているはずの背の高い本棚が左の壁を(えぐ)って突き刺さっている、・・・シルエットが浮かび上がっている...。


リビングとキッチンを隔てる薄い硝子障子はしっかり閉じられていて、ここからは少しぼやけて正確には判別がつかない。


・・・心臓がどきりどきりと波打ち、いやな予感がずきずきしてくる...。


(...何時もみたいにリビングでテレビを見ながら、父が横になっているんじゃないのか?...。)


「親父!」


慌てて歩いたせいで、素足の足に割れた硝子の破片がチクチクと突き刺さって痛い。


「母さん!!」


居ても立っても居られなくなり、もう痛かろうと僕は無我夢中でそのままリビングへ駆け込んだ――。

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