一条 翼 終
一条家は、誰もが羨む絵に描いたようなエリート一家だ。
「お父様、お母様、おはようございます」
「ええ。今日もピアノのレッスンと塾、怠らないようにね。一条の血を引く者として、常にトップでありなさい」
「はい、お母様」
ダイニングテーブルに並ぶ、三人の子供たち。上は高校生から、下はまだ小学生まで。
妻である翼の徹底した、そして厳格すぎる教育の甲斐あって、子供たちは全員がトップクラスの成績を修め、礼儀作法も完璧だった。
かつて底辺だった俺が、大企業の重役となり、こんなにも立派な(そして少し息が詰まるほど厳格な)家庭の長になっているなんて、世間の誰もが「最高のサクセスストーリー」だと持て囃している。
だが――そんな完璧な世界の裏側には、俺たちだけの「絶対的な秘密」があった。
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深夜。子供たちが全員眠りについた後。
俺は、広大な屋敷の地下にある、防音設備の整った特別な隠し部屋へと足を踏み入れた。
「あきとぉ……遅いよぉ。待ちくたびれちゃった♡」
「もー、遅すぎ! ウチら早く暁人とイチャイチャしたいのにー」
部屋の中央にあるキングサイズのベッドで俺を出迎えたのは、妖艶なネグリジェ姿の空と桃花だった。
そう。俺は翼と結婚した後も、この二人との関係を終わらせていなかったのだ。
それどころか、空との間には三人、桃花との間には二人の子供までいる。(もちろん、翼の圧倒的な権力と財力によって、世間には完全に隠蔽し、別宅で不自由なく暮らさせているが)
「悪かった。上の子たちの進路の話が長引いてな」
「えへへ……じゃあ、たっぷり愛情チャージさせてね、暁人♡」
「ウチもー! 今日はいっぱいヤろ♡」
俺がベッドに腰掛けると、二人が甘い香りを漂わせて左右から絡みついてくる。
十数年経っても全く衰えない、むしろ艶を増した二人の極上の身体。
だが、この異常なハーレム空間において、最も狂っているのは俺でも、空でも、桃花でもない。
「……はぁっ……あぁっ……っ♡」
ベッドの目の前。
豪奢なアンティークチェアに、太いロープで手足をきつく縛り付けられ、乳首と局部にバイブを固定されている女
――俺の正妻であり、昼間は子供たちに厳格な態度をとっていた、あの一条翼だ。
「ねぇ、翼ちゃん。特等席の座り心地はどう?w」
桃花が、俺の首筋にキスを落としながら、縛られている翼を挑発するように見下ろす。
「ふふっ、正妻なのに手出しできないなんて、可哀想な翼ちゃん。暁人は今から、私と桃花ちゃんでたーっぷり搾り取っちゃうからね♡」
空が、俺のシャツのボタンを外しながらクスクスと笑う。
「……っ! くっ……この、泥棒猫、たちが……っ!」
翼は悔しそうに顔を歪め、俺たちを睨みつけている。
……ように見えるが、俺にはわかっていた。
ロープが食い込む彼女の白い肌は異常なほど紅潮し、縛られた太ももは小刻みに震え、局部からドロドロと愛液を垂らして、その瞳は濁った熱を帯びている。
あの日、俺の底辺の泥に惹かれた彼女の「ドM気質」は、結婚と出産を経て、さらに最悪の進化を遂げていた。
『自分という絶対的な正妻がいながら、目の前で夫が他の女たちと交わり、自分はそれを縛られて見ている事しかできない(逆寝取られ)』という状況に、彼女は今、狂うほどの興奮を覚えているのだ。
「翼ちゃん、暁人のこんなにビンビンだよ?私達の中に
ビュッーってしたいようだよ?」
空がわざと冷たい声で見下ろすと、翼はビクンッと身体を跳ねさせ、涙目で俺を見上げた。
「やだやだっ♡ビュッーしちゃダメ♡♡暁人、ビュッーしないでぇ♡我慢してぇ♡♡」
荒い呼吸を繰り返しながら、翼が恍惚とした表情で懇願してくる。
「もっと……もっと私に見せつけなさい……っ。気高くて完璧な正妻の私が……手も足も出せずに放置されて……あなたたちが交わる卑猥な音を、ただ聞かされるだけの……惨めなメスに……堕として……っ♡」
「うわー、相変わらずキモっw」
「ッッ♡」
「翼ちゃん♡私、もう暁人の子供、3人も産んでるんだよ?もしもう一人産んだら、正妻である翼ちゃんより多くなっちゃうね♡」
「いやぁ♡産まないでえ♡暁人は私の旦那様なのにぃ♡私より多く産んじゃダメぇ♡♡♡」
「翼、お前のすぐ一人でイッちゃう雑魚マンより、空達のテクニックと、締まりの良い穴の方が気持ちいいから、もう翼とのえっちはしないけど、いい?」
「やだぁ♡雑魚マンって言わないでぇ♡すぐにイクの我慢するからぁ♡暁人とえっちさせてぇぇ♡♡」
翼の震える声と、熱を帯びた吐息が、地下室に響き渡る。
それを合図にするように、空と桃花が俺の身体に深く重なってきた。
「それじゃあ、いただきまーす♡」
「翼、しっかり見てなよw勿論終わった後は、いつも通り暁人のを、お口で綺麗にした後ウチらの中にビュッーってされた、暁人のせーし舐め取って綺麗にしてもらうからね♡」
「ッッッ♡♡♡」
目の前で縛られ、ただ熱い吐息を漏らしながら身悶える正妻。
俺の胸に顔を埋め、とろけるような声を上げる二人の愛人。
表の世界では完璧な父親と母親を演じながら、裏ではこんな狂気に満ちた底なし沼で、俺たちは共依存の鎖を絡ませ合っている。
これが、一条翼という女が作り上げた、歪で、狂っていて――そして、俺にとっては逃げ出すことのできない、最高のハーレムの完成形だった。
[一条 翼ルート 終]




