音村 暁人 4
ウチは理衣たちと一緒に、いつもの海沿いの廃墟で女子会をしていた。
ここは周りの目を気にせずお酒も飲めるし、タバコも吸える。誰にも邪魔されない、ウチらにとって一番大切な溜まり場だ。
「トーカちゃん、ついに暁人の女にしてもらったんだってーーw」
「うわw それ聞いたーーw マジで良かったじゃんw」
「うんwww」
ウチは照れ隠しに笑いながら、缶チューハイを煽った。
「んー、でも暁人にはまだ空と会長がいるよね? いいの?それで?」
「良くないけど……空と会長には、マジで全ての面で勝てる気がしないからさ……。とりあえず、悠里ってキャバ嬢から暁人を奪えただけでも、今は大勝利かなって」
「そんな事ないよー、桃花めっちゃいい女じゃん!」
「そーそー、めっっっちゃ可愛い! 一途だし、パパ活とかしてる私達と違ってビッチじゃないし!」
「うんうん! お顔もバブみあって綺麗だし」
「スタイルも良いよねーー。足めっちゃきれーだし」
「もーww やめて!!w そんなに褒めないでってw」
「トーカちゃんの照れてるトコ、かわいーーーー!!」
「やめてw 抱きつかないでよw」
「で? 暁人とのらぶらぶえっちはどうだったー?」
「……マジで、幸せw」
ウチがふにゃりと笑うと、みんなが一斉に冷やかした。
「いいなー。私もイケメンでマッチョの彼氏ほしーー」
「また前みたいに乱交したーい」
「確かに……あの時の暁人の顔、めっちゃエロかったし……」
「トロトロのアヘアヘだったよねーーw」
「もう駄目だから!!ww アンタらには、もう絶対貸さない!!ww」
ウチが釘を刺すと、みんなブーイングを飛ばした。
「ケチー」
「すっかり彼女やってんじゃんw」
「あーあ、桃花の幸せそうな顔見てたら、私も彼氏欲しくなったー」
「あれ? 一週間前にできたって言ってなかったっけ?」
「あー、アイツね……。なんか『俺、ちん◯デカいから!』って自慢してたから気になって見たら、マジでデカくてw」
「「「「「wwwwwww」」」」」
「んで、付き合ってえっちしたらデカすぎて痛くてさw」
「あー、確かに……私もデカすぎるの嫌いw」
「フェラする時大変だし、疲れるし顎も痛くなるしねー」
「やっぱ、少しだけ長くて太くて固いのが一番良いよねーw」
「男って、女がでかいのが好きって勘違いしてるよねww」
「へー、そんなモンなんだ……。ウチ、暁人しか知らないからよくわかんない」
「暁人くんのはマジでベストwwww」
「それっ!! ホント良かったww」
「しかも、暁人くんってめっちゃ感じやすいよね!」
「あ! 待ってw マジでわかるww」
「入れた瞬間、顔トロけ始めるよねw かわいーよねw」
「普段はクール系のつよつよ男子だけど、えっちの時はアヘ系のよわよわ男子になるの、ギャップやばすぎてめっちゃ興奮したww」
「アヘ系wwwなんだよそれw マジ笑えるww」
「あーゆー顔で甘えられたら、こっちも攻める気でるよねw」
「待ってw わかるっwww」
「あーーー、桃花羨ましーー!」
「だから絶対貸さないってばw」
「ぶーぶー」
「そういえば、暁人の女になってからメイクも変えちゃったよね……悲しみー」
「ナチュラルになったよねー」
「暁人にすっぴんの方が好みって言われたから、ナチュラルにしたー」
「トーカちゃんはガチメイクしても可愛いけど、ナチュラルでも系統が違う美人になるからいいよねー」
「いいなー、特に輪郭」
「私は桃花のぷるぷるな唇ほしーな」
「確かに……めっちゃわかる……。でも私はスタイルの方が欲しいなー」
「また褒め始めた!!w もーやめてーー!w」
ホントーに楽しい。
面白くて可愛くてノリの良い友達に囲まれて……大好きな暁人の女にもなれて……。
今のウチ、マジで幸せすぎっ……。
「はーー……マジ桃花羨ましい。私、まだパパ活から抜け出せない……」
「あー、私も……」
「みんな辞めないの? ウチらの貴重な時間、キモいおっさんに使いたくなくない??」
「うん……私もそー思うけど、今更普通のバイト……なんて無理だよ」
「何回鏡見ても自分の顔のパーツが気にくわないからさ……整形代、凄く掛かるし」
「んー……ウチから見たら、爆美女ギャルだと思うけどなー……。でも、ウチらが言ってもピンとこないよね?」
「うん……みんなが綺麗、可愛いって言ってくれるのはとっても嬉しいけど……やっぱ、もっと綺麗になりたいっ!って欲が抑えられなくてさ……」
「そっかー。止めはしないけど……んー、いい言葉が思いつかない」
「まぁ、仕方ないよ……。私はブランド物が好きだからそこにお金掛かるなー」
「あー、私は整形とブランドどっちも〜」
「私は貯金!」
「「「「「エラすぎッ!!」」」」」
「じゃー、パパ活やってないのって桃花と理衣だけかー」
「うん〜。私は整形もブランドも興味ないし〜。面食いだから、おじさんと一緒にいるだけで病む〜〜〜」
「ウチも理衣と一緒で、整形もブランドもあんまりキョーミないし……。何より、高一の時に怖い目にあったし、暁人から辞めた方がいいって言われたからー」
「なるほどねー」
「桃花はもう、暁人さえ側に居たらそれで大満足でしょw」
「まーねw」
ドンッ……!!
不意に、廃墟の重い鉄扉が乱暴に蹴り開けられた。
ビクッとして全員が振り返る。
「……よぉ。楽しそうだなw 俺らも混ぜろやw」
「……は?」
そこに立っていたのは、ウチらの同年代の男子なんかじゃない。
どう見ても裏社会の人間のような、薄汚くてガタイのいいコワモテの男たちが数人、ニヤニヤと濁った目を光らせながら、部屋の中に入り込んできたのだ。




