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脅され、犯され  作者: ぱぴぷ


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音村 暁人 3

薄暗い部屋で意識を取り戻した時、俺の身体は完全に自由を奪われていた。

両腕をベッドのヘッドボードに手錠で固定され、服はハサミで無惨に切り裂かれている。


「あ〜きとっ♡」


ベッドの傍らに、悠里が立っていた。

その顔には、今まで俺に向けていた優しい「聖母」の面影は微塵もなく、粘着質で狂気じみた笑みが張り付いていた。


「これ……飲んで?」


悠里が、舌の上に一粒の怪しげなピンク色のゲームキャラクターがデザインされている錠剤を乗せて顔を近づけてくる。


「……何の薬だ」

「ふふっ。暁人の頭の中をからっぽにして、私の事しか考えられなくするお薬♡ 叔父さんのお店に出入りしてる悪い人から、特別に分けてもらったの」


悠里の瞳孔が、異常なほど開いている。


「これを飲めば、気持ちよくなれるよ? ちんちんは立たなくなるから強めの勃起薬飲まなきゃいけないんだって!」


(つー事はMDM◯のS玉か…悠里がケミカルやろうなんて言うなんて……」


「悠里…良い加減にしろ」


俺が手錠をガチャガチャと鳴らして暴れると、悠里は楽しそうにくすくすと笑った。


「暴れないでよぉ。……ねぇ、暁人。今まで私のこと騙してて楽しかった?」

「……ッ」

「空ちゃんと、翼ちゃんと、桃花ちゃん。……みーんなに良い顔して、私のこと裏切ってたんだよね?」


悠里の顔が、スッと真顔に戻る。


「……なぁ、悠里。俺はどうなってもいい。……俺が全部悪かった。だから……あいつらには、手を出さないでくれ……頼む……!」


俺が必死に懇願すると、悠里はしばらく無表情で俺を見下ろしていたが――不意に、腹を抱えて笑い出した。


「あははははっ! あー、笑える!!」

「ゆ、悠里……?」

「もう遅いでーーーすww!!」


悠里が、自分のスマホの画面を俺の目の前に突きつけた。

そこに映っていたのは――。


「……え」


暗い廃墟のような場所で、服を破られ、ボロボロになって倒れている三人の画像だった。

男たちの影が、彼女たちを取り囲んでいる。


「っ……!! 悠里!! テメェェェェェェ!!!」


俺は、人生で一番ブチギレた。視界が真っ赤に染まる。手首から血が滲むほど手錠を引きちぎろうと暴れた。


「許さねぇ……悠里! お前だけは、ぜってぇー許さねぇ!!!」

「あははw やっと感情出たねww でも遅いよー。男たちからも好評だったよーw 人生で一番最高の日だってさww」


あ……。

あ、あ…………。

俺の喉から、声にならない嗚咽が漏れた。

俺のせいで。俺がクズだったせいで、あいつらの人生を完全に終わらせてしまった。


「わっ! 暁人が泣いてる! 泣いてる所、初めて見たw!」

「クソッ……クソ……うぁぁっ……あぁ……っ」

「暁人、泣いてる……可哀想に。ヨシヨシ、私がいるからねー♡ 私だけが、暁人を愛してあげるからね♡」


悠里が俺の頭を優しく撫でる。


(ははっ……もう……いいや)

(どうでも……いい……。俺はもう、生きている価値なんてない……)


絶望で完全に心が折れた俺の口に、悠里が錠剤を口移しで押し込んできた。



⸻同時刻⸻

「あー、やっぱ無事だったか」

「ん? 君らは確か……」


高級住宅街の一角。

数人の男たちが地面に這いつくばって呻き声を上げる中、一条翼は涼しい顔で立っていた。


「久しぶりー、翼。中学以来だね」

「翼ちゃん! お久!! 前も可愛かったけど、今はもっと可愛いくなった!」


幹也と蓮二だった


「幹也と蓮二か……久しぶり」

「翼、急なんだけど、誰か襲って来なかった?」

「うん。ちょっと前に複数人の男が私を囲んできたよ。……でも」


翼が視線を送ると、スーツを着た屈強なボディーガードたちが、襲撃犯たちを容赦なく締め上げている最中だった。


「パパが過保護だから、常に私の周りにボディーガードを隠れさせててね。だから、一瞬で制圧した」


「はぁ……。だから言ったろ、翼ちゃんは絶対大丈夫だって……」

「だな……。急いで損したぜ……」


蓮二たちが呆れたように肩をすくめる。


「二人は、何かこの件に関わりあるの?」

「あー……実は……」


蓮二から事情を聞いた翼の目が、スッと細められた。


「今すぐ家の者に調べさせる。……他に情報はないんだな?」

「ああ……俺らは暁人から三人を助けろって短い連絡をもらっただけだから、これ以上詳しい事はわからない」

「そうか……わかった。ありがとう。空ちゃんは無事なんだね」

「おう! 俺らで安全な所に匿ってる。んじゃ、俺らは急いで桃花を助けに行ってくるわ」

「岸辺桃花なら、この時間帯は海沿いにある廃墟を溜まり場にして、よく友達とお酒を飲んでるらしいから、そこに居るかもしれない」


翼が冷静に情報を提示する。


「マジか! サンキュー!!」

「うん、気をつけて」



蓮二たちが走り去った後、翼は夜空を見上げて小さく微笑んだ。


(小鳥遊悠里……凄い事やるなー。私なら絶対こんな雑な事出来ない。こんな事したら、暁人の心が完全に壊れて病んじゃうでしょ……)


まぁ……でも、正直あの二人が汚されるのは、私としても好都合。

……いや、違うか。


(暁人が壊れちゃうのは、やっぱり嫌だな……)


壊れて私にすがりつく暁人も可愛くて好きだけど、やっぱり暁人は、いつも通り少し生意気なままが一番好き♡

空の事は嫌いだけど、暁人を本気で愛している事だけは認めている。


岸辺桃花も、結果的に暁人を私の元へ押し上げてくれた恩がある。


(はぁ……私だけの暁人にしたかったけど、暁人が壊れちゃうぐらいなら、今回は助けてあげる)


他の女と違って、私には「暁人の初めての子供を産んだ」という絶対的なアドバンテージがある。

悠里の浅はかな計画など、私の権力と情報網があれば一瞬でひっくり返せる。


「ふふっ……待っててね、暁人。一番の絶望の中で、また私が救ってあげるから」


翼は、冷酷で完璧な生徒会長の顔に戻り、ボディーガードたちに指示を出し始めた。

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