小鳥遊 悠里視点 終
暁人と付き合い初めて一カ月……。
ほんとおーーーーに!!!!
し・あ・わ・せ!!!!
毎日幸せ……幸せすぎるよぉ!
暁人のこの身体! 顔! 声! ぜーーんぶ私の物!!
付き合ってすぐ、えっちしちゃった。
大好きな人と一緒のベッドで、何も身に付けず重なり合う……。こんな幸せな事ってないでしょ!
もうヤバい……幸せすぎて死にそう……えへへぇ。
暁人とのこれからの未来の為に、たくさんお金稼がなきゃいけない。
お母さんの弟がキャバクラのオーナーをやってるから、そこで働かせてもらうことになった。かなり有名なグループで、SNSでも人気のあるお店。本来は厳しい面接があって、私みたいな未経験は絶対に入れてもらえない場所なのに……おじさんには本当に感謝だ。
最初はかなり大変だったし、辛くて泣いた夜も何度もあったけど、だんだん慣れていった。キャストの子たちとも友達が出来て、客の愚痴で盛り上がったり、美味しいご飯や色んなお店にも行ったりした。
本当に今、私は人生で一番充実している。
少し前までは、自分の中にドス黒い暴力的な感情があったけど……今はもう、全く……ない!
それからしばらくして、暁人を親に紹介した。
暁人は、自分の事を正直に話してくれた。今まで自分がどんな人間だったのかを……。
でも、これからは改心して、私のために真っ当に生きると言ってくれた。
お父さんとお母さんはその言葉に頷き、高校を無事卒業したら、結婚を許可してくれるって!
『悠里……俺、頑張るよ』
『うん!』
私……こんなに幸せになっていいのかな。
暁人と出会う前はあんなに絶望してたのに……。
ふふ……子供は男の子と女の子、一人ずつがいいなー。
はぁーーー! 暁人の高校卒業まで、待ちきれない!!
⸻
――最近、暁人が会ってくれない。
どうして……。
しかも、返信も遅い……なんで……。
いつもなら三十分以内には返ってくるのに……。
不安だ……。
⸻
久しぶりに暁人と会った。顔を見た瞬間、幸福感が溢れた。
でも、暁人の顔色が、あまり優れない……どうしたんだろう。
何か悩み事かな?
でも、久しぶりのデートは楽しかったー!
そしてこの後は……えへへ……楽しみだなぁ。
「んーーー! 今日は楽しかったぁーー!」
「だな、悠里との久しぶりのデート、楽しかった」
「私もーー! ……で・も・! まだ楽しい事、あるよねー?」
「ははっ、そうだな……。宿泊にする?」
「うん! 久しぶりなんだから、いっぱい暁人を感じたい!」
「おっけー、タクシー呼ぶわ」
「はーい! でも、タクシーで行くの恥ずいカモ……」
「気にしなくていいって。前に空といっ……」
……は?
は?
「あ、あの……」
暁人は、ハッとして焦った表情で私を見た。
「……」
落ち着こう、私……。もう、暁人は私の物だ……大丈夫……大丈夫。
「大丈夫だよ、鳴上と付き合ってた時の事、不意に口から出ちゃったんだよね」
「そ、そうそう! マジでごめん! 元カノの名前出しちまって!」
「うん、大丈夫だよ……次からは気をつけてね?」
「お、おっけー! 気をつけるわ!」
……。
⸻
次の日、ショッピングモールでデートしていたら、懐かしい人と会った。
岸辺桃花。同中の友達だ。とーかは中学での数少ない友達の一人で、卒業してからはSNSで繋がっているだけだったから、久しぶりに会えて凄い嬉しい。
とーかとご飯行く約束しちゃった! 美味しいとこ連れていこ!
その後、とーかに暁人を紹介したんだけど……。
なんか、おかしい……。
妙に暁人は余所余所しいし……とーかは、何故かニヤニヤしながら暁人を見ている……。
怪しい……。
その日のデートは終わった。すごい楽しかったし、幸せだったけど……。
あの首元の赤い痣……。そして……暁人ととーか……。
あれ? 確か暁人ととーかって、高校一緒だよね?
…………。
とーかに連絡して問い詰めたら、あっさりと白状した。
思った通りだった。
とーかにお願いして、この目で確認したいから場所を作って欲しいと頼んだ。
そして次の日……やっぱり暁人は、浮気していた。
しかも、複数人と……。
最低……信じてたのに……。
もう、いいや……もう……いい。
私は暁人に別れを告げ、その場を後にした。
⸻
「クズクズクズ!!」
「ヤリチンクズゴミ男!!」
「死ねばいい……あんな奴!」
家に帰り、ベッドに入った瞬間、私の心は完全に壊れてしまった。
「死ね……死ね……っ」
「う……うううぅぅ!!」
暁人はクズ……あんな奴死ねばいい……!
でも……。
ヤダよぉ……っ! 暁人、好き! 好き! 離れたくない!!
「やだやだやだやだやだやだやだ!!」
……………。
あれ? 暁人、悪くないんじゃない?
そうだ! そうだよ! 暁人は、あの女共に騙されてるんだ!
それか、暁人はあの異常な女共に弱みを握られて、無理やり関係を迫られて、心を壊されちゃったんだ!
暁人は今、辛いんだ!! 暁人が私を裏切る筈がない!!
あはは、あははははは!!
完全に消えたと思っていた、私の中の「ドス黒いモノ」が、また溢れ出してくる。
暁人は悪くない……暁人は可哀想なんだ。
もー! しょーがないなぁー!
暁人ったら、私がそばにいなかったら本当に駄目なんだから!
あんな女毒牙にかかるくらいなら、暁人を外に出すのは危険だ!
私の部屋に監禁して、ずっとずーっと、私がお世話してあげよーー!!
そして……。
鳴上 空。一条 翼。岸辺 桃花。
絶対。
ぜっーーたいに。
ユルサナイ。
あはは……。有名なグループでキャバ嬢やってるとねー、裏社会のヤバい奴とか、権力持ってる悪い大人とか、いろーんな人と知り合いになれるんだーー。
アイツらがすべてを失って、絶望して泣き喚く無様な姿……。
私だけのモノになった暁人に、特等席で見せつけてあげよーーっと♡




