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脅され、犯され  作者: ぱぴぷ


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小鳥遊 悠里視点 2

(うわー……あれが暁人の彼女……鳴上 空か……)


遠目からその姿を見た瞬間、私は思わず息を呑んだ。


噂通りのビジュ……可愛すぎるでしょ。何、あの身体! 恵まれすぎ……本当に私と同じ中学生!?


SNSに載っている自撮りで顔は知っていたけど、生で見たら色々とヤバすぎた。圧倒的なオーラ。誰が見ても振り返るような完璧な美少女。


(……ダメだ。真っ向勝負じゃ、絶対に勝てない)


顔でも、スタイルでも、あの子には敵わない。

なら、どうする?

暁人を手に入れるためには、手段なんて選んでいられない。



「ねぇ、アンタ。暁人と同中っしょ?」


放課後のファミレス。私は、暁人と同じ中学の派手なギャルを呼び出していた。

この女とは昔揉めたことがあったけど、今は会ったら普通に話す程度の仲だ。


「悠里……いきなり呼び出したと思ったら。つか、なんで暁人?」

「私さ、暁人の事気になってるの」

「あー、そゆね……やめときなー」


女はストローを噛みながら、呆れたように笑った。


「暁人の彼女、めちゃカワだから。アンタでも勝てないよ」

「知ってる……前に生で見た」

「じゃあ、なんで?」


私は無言で、封筒に入った数万円をテーブルの上に滑らせた。


「?」

「学校でさ。アンタの友達と一緒に、暁人に過剰なくらいベタベタしてほしいの。セクハラ?ってくらい、派手に」

「えw マジで意味わかんなww」

「それで、空を極限まで嫉妬させて欲しい」


女は一瞬キョトンとした後、ニヤニヤと笑い出した。


「えーw まぁ、暁人にセクハラみたいなのは、アタシらも空にバレないように前から面白半分でしてるけどさw」

「……それをもっと激しく、わざと空の目の前でやってほしい」

「マジ?w 今でもたまにすっげー怖い目で睨まれるのに……それやったらアタシら、空にマジでボコられちゃうじゃんw」

「……やれる?」


私が真顔で尋ねると、女はお札をサッとカバンにしまい込んだ。


「まーいいやw おっけー! 任せてー」

「………」



数日後。

いつもの公園のベンチに現れた暁人の顔を見て、私は心の中で快哉を叫んだ。


「うわー……なにそれ! 暁人、ヤバっ……!」

「空に、殴られた……」


暁人の頬は赤く腫れ、首元には引っ掻き傷のようなものが生々しく残っていた。


「なるほどねー。なんかやったの?」

「最近、学校の女子がやたらと距離が近くてよ……それで、空が嫉妬してさ……」


暁人が、心底疲れ切ったようにため息をつく。


「今までもこういうのはあったけど、今回のはヤバかった」

「えー! マジでー? 聞かせてよー」


(ふふっ……作戦大成功ーw)


「なんかさ、いきなり女子と話すの禁止って言われてよ……。まぁ、まだそれなら理解は出来るけど、男友達とも極力関わるなって言われて……。さすがにそれは違うだろって言い返したら、空が豹変してよ」

「うんうん」

「そっからは殴られたり、蹴られたり……。今まで、あんな空、見た事なかった……」


(笑えるww クソ効果抜群じゃんww)


私は内心の爆笑を完璧に隠し、大袈裟に眉をひそめてみせた。


「うわー……酷いね。彼女さん、結構ヤバめだねー」

「……かもしんねーな……」

「さすがに、どんな理由があれ好きな人に暴力は駄目でしょー。しかも、女子とは話すな、男子とも関わるなって……束縛ヤバすぎ。ありえない」

「やっぱ、束縛ヤバいよな……空以外と付き合った事ないから、あんまり実感なかったけど……」

「うんうん、マジで異常だよ! その内、位置情報アプリとか入れられたり、二時間おきに自分の状況伝えなきゃいけなくなったりするかも!」

「うわ……それは、だるいわ……」


暁人が頭を抱える。


「好きな人の自由を奪うなんて、あり得ない! 多少のヤキモチなら分かるけど、さすがに彼女さんの束縛は異常だよ。私なら……絶対にそんな事しないけどなー」

「へー。悠里と付き合う事になる奴は、すげーいい恋愛できそうだな」

「でしょー! 私めっちゃいい女だからね!」


私はわざと明るく笑い飛ばした。


「悠里の好きな男のタイプは、どんなの?」

「えっとねー。顔が良くてー、筋肉凄くてー、喧嘩強くてー、私を守ってくれる人!」

「俺じゃん!w」

「おい!w 自分で言うなーー!w …………そうだけど……」


私が急に声を潜め、真剣な目で見つめると、暁人はハッとして言葉を失った。


「えっ……マジ……?」

「……マジ」

「……」

「私は、いつでも待ってるよ」


暁人の目が、大きく揺れる。


「いや……でも、俺は……」

「うん、わかってる。……彼女さん、大事だもんね」

「ごめん……」


暁人が罪悪感に顔を歪めた瞬間、私はパッといつもの明るい笑顔に戻った。


「んーん! 全然いいよ! 私が勝手に好きになっただけだし! 気にしないで!」

「……おう」

「もー! やめてよー! この雰囲気やだーー!!ww」


暁人の背中をバンバンと叩く。


「まぁ、これからも相談乗るし、なんでも頼って? 暁人の為なら頑張るから!」

「……助かる」

「もーすぐ中学卒業じゃん? 私、高校行かずに働くから、お金の面でも頼ってよー」

「いや、それは流石に悪いよ……」

「遠慮するな〜w その代わり、私になんかあったら助けてねー!」

「おう……任せとけ」

「それじゃカラオケ行こー! 私の奢りだから、嫌とは言わせないぞー?」

「だるっ……カラオケ嫌いなんだよ……恥ずかしい」

「はいはい、行きますよー」

「はぁ……」


暁人は呆れたように笑いながら、私の隣を歩き出した。


(…………)


暁人の背中を見つめながら、私の唇は自然と三日月の形に歪んでいった。

順調、順調。

焦らず……ゆっくりと…

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