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脅され、犯され  作者: ぱぴぷ


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小鳥遊 悠里視点

「おい! ガイジン! 早く国に帰れ!」

「そうだそうだ! キモいんだよフィリピン人!」

「いやw 韓国人だろ!」

「悠里! 今日の給食、お前の大好きなパスタだってよw 俺らのも食わせてやるよw」

「………」


私は昔から、ずっと差別されて生きてきた。親に外国の血が入っているからだ。

パパがイタリアと日本、ママが韓国とフィリピンのハーフ。

いろんな国の血が入っている私は、いじめの恰好の的だった。特にママは韓国訛りのある日本語を話すから、参観日の後はいつもバカにされた。

だから私は、ママが嫌いだった。一度「参観日とか来ないで」と言った事もあるが、無駄だった。そういう不満が積み重なり、私は学校に行かなくなった。


中学生になったら何かが変わると期待していたが、何も変わらなかった。

むしろ更に酷くなり、男子からは差別され、女子からは私の顔立ちへの嫉妬が混じった陰湿ないじめを受けるようになった。


中学二年になったあたりから、男子からの直接的ないじめは減った。代わりに、下心見え見えの視線で遊びに誘われたり、告白までしてくる奴が現れた。

だが、その告白してきた奴の中に、学年の女子グループのリーダーが好きな男がいたらしい。そのせいで、今度はその女リーダーを中心とした壮絶ないじめが始まった。

男子からの気持ち悪い視線。女子からの陰湿な暴力。

私はついに耐えられなくなり、感情を抑えきれずに、その女リーダーを思い切り殴ってしまった。


すると、意外な事にいじめがピタリと止んだのだ。

その時、私は気づいてしまった。――「暴力」だけが、私を救ってくれるんだという事に。


ドカッ!

「うっ……」

「よえーくせーに、チョーシ乗んなや」

「はぁ……はぁ……悠里……てめぇ……ぜってぇ……許さねぇ……」

「……」


気に食わない奴がいればすぐに殴り、売られた喧嘩はすべて買った。

気づけば、私の周りには誰もいなくなっていた。小学生からの友達は離れていき、私に寄ってくるのは、馬鹿なヤンキー女か、身体目当てのキモい男たちだけになった。


(もう、どうでもいい……。これから私は、ずっと一人で生きていく)



「また、ボコられに来たの?」

「……w」

「何笑ってんの」

「ボコられんのはアンタよ……悠里w」

「はぁ? まだ殴られ足りねぇのか?」

「みんな! もういいよ!!」

「……?」


女が合図をすると、公園の死角からゾロゾロとガラの悪い男たちが何人も出てきた。


「よぉ……悠里。俺の彼女をよくもやってくれたなぁ」

「うわー……悠里ちゃん、写真で見るよりかわいいわw」

「だろw 俺らの中学でダントツで顔が良いからなw」

「なっ……お前……ふざけんなよ……ッ!」

「ごめんねーw アンタの無様なツラが見たくてさー。彼氏にお願いしちゃったw」

「……この……クソ女!!」


私は女の顔面を殴ろうとしたが、寸前で男に腕を掴まれた。


「あぶなーw 悠里ちゃん、顔かわいいんだからそんな事しちゃ駄目だよーw」

「舐めんなや!」


私は男の腹に蹴りを入れた。ヒットした感触はあったが……。


「おー、良い蹴りじゃん! 女にしてはw だけどww」

全く効いていなかった。

「さてと……そんじゃ……やりますかwww」

「く、くそッ……!」


男たちが一斉に私に飛びかかり、腕と脚を力任せに押さえつけ、服をビリビリに破いた


「やめろっ! 離せ! キモいんだよ!!」

「おほっ〜! やっばっ!! 悠里ちゃん、胸意外とあるやーんw」

「結構着痩せすんだなww やべっw ビンビンになってきたわww」

「だせえブラww取ってあげるねwゆーりww」


無理やり引っ張られ、ブラが取れてしまった


「うおおwwやっばっw」

「隠すんじゃねぇ! おい、しっかり押さえとけよ!」

「クソっ! ぜってー殺す! 殺してやる!!」

「すげーw乳首めっちゃピンクじゃんw!」

「お前のとは、大違いだなww」

「うざww……悠里、マジでアンタ、何から何まで私をイラつかせやがって……」


ドゴッ!

「うっ……!」


女が、私の腹を思い切り蹴り上げた。息が詰まり、抵抗する力が抜ける。


「ほんと……いい気味……ww。アンタら……もういいよ、ヤっちゃってw 私、動画撮ってるからww」

「よっしゃー! そんじゃ……いただきますかw」

「やめろ……やめて……っ」

「おらっ……抵抗すんなや。おい、まずは俺からだ。しっかり押さえてろよ」

「嫌だ……嫌、嫌!! 離して!!」


パンツに手が伸びてくる。


……ああ、そうだ。私は一人だ。誰も助けてくれない。

なんで私ばっかりこんな目に遭うの? 差別やいじめが嫌で、自分の身を守るために抵抗しただけなのに。

誰も助けてくれない。だから、自分で自分を守るしかなかったのに。

その結果がこれ。何をどうあがいても、私は不幸なまま。


(もう死のう……。生きてる意味なんて、ない……)


私は絶望で目を閉じ、意識を手放そうとした。


「――おい!!」

犯される寸前で、鋭い怒鳴り声が響いた。


「あ? なんだ……てめぇ……邪魔すんじゃねぇよ。ボコられ……」

「おい! あれ……」

「東中の、音村暁人じゃん……なんでここに……」


音村暁人。このあたりに住んでいる十代なら、大半が知っている悪名高い不良だ。


「ここは俺のお気に入りの場所で、よく使ってんだよ」

「え……そうなんスね……すみません」

「てめぇらがこんな場所でやらかしたら、警察のパトロールルートに加わって、俺がここを使えなくなんだろーが」

「あ、そうっすよね! 場所移します!」

「つか……お前ら、何やってんの?」

「え! ああ!! この生意気な女、俺らでマワそうかなとww」

「そうそうww 暁人クンも一緒にヤるw? 一番譲るよ?w」

「……終わってんな、お前ら」


暁人が、ゆっくりと男たちの方へ歩み寄った。その圧倒的な殺気に、男たちが一斉に後ずさる。


「ひっ……待て、待て! 待ってくれ!」

「暁人くん…アンタの気分を害した事は謝る…だから見逃してくれ!」

「……見逃してほしいなら……わかるよな?」


暁人は冷たい目で男たちを見下ろした。


「おい。お前ら、財布にある金……全部出せ」

「え……私も?」

「あたりめーだろ!! 早く出せ!」


男たちと馬鹿女は震えながら財布から金を取り出し、暁人に渡した。


「これで勘弁してくんねーか?」

「んー……」


暁人が、いきなり地面に倒れている私に視線を向けた。


「お前はどうしたい?」

「え?……私……?」

「お前がコイツらをボコって欲しいなら、俺がやるけど……」


私は、男たちの方を見ることができなかった。


「……ぅ……いや……もう……いい……関わりたく……な……ぃ」

恐怖と安堵が入り混じり、私は耐えきれず泣きじゃくった。


「……」


「悠里!マジごめん!もう関わらないから!」


踵を返そうとした男の一人――馬鹿女の彼氏の胸倉を唐突に掴んだ。


「え」

ドカッ!!


重い拳が顔面にめり込み、男が白目を剥いて崩れ落ちた。


「本人が『もういい』って言ってっから、これで勘弁してやるよ」

「嘘っ……!」

「暁人クン! マジごめん!! マジで! マジでっ!!」

「二度とこの場所に来んじゃねぇぞ。……あー、あと」


暁人は、男たちを睨みつけた。


「この女にも、二度と関わんじゃねぇ。わかったら、ソイツ連れてさっさと消えろ」

「は、はいぃぃ!! 二度と関わりません!! 行くぞっ!!」


クズ共は気絶した男を引きずり、一目散に逃げて行った。



「……ありがと……」

「おう。……これ、着とけ」

暁人は着ていたロンTを脱ぎ、服を破られて震えている私に無造作に被せてくれた。


「うん……っ」

フワリと、良い匂いがした。ウッド系の、落ち着いた大人の香水。


顔を上げて、暁人の方を見る。


(……うわ、やばっ。……好き)


少しイカつめで整った顔立ち。鍛え上げられた筋肉。圧倒的な強さ。

私の好みに、すべてが完璧に当てはまっていた。


さっきまで絶望の淵に叩き落とされていたのに、今、私の心は何もなかったかのように暁人に夢中になっていた。


(やばっ……やばいぃ……。これが、人を好きになるって事? え! どうしよ……どうしよぉ〜……)


「なぁ、お前……小鳥遊だよな?」

「えっ! うん! そーだよ!」

「やっぱか……お前の噂、聞いてるぜ。誰も手が付けらんねぇヤベー女だってな」


うう……なんか恥ずかしい。前までなら不良の箔がついて嬉しいくらいだったのに。


「そ、そんな事ないと思うけど……」

「あー、だよな。今のお前見てても、普通の可愛い女にしか見えねーし」


(い、今……私の事、カワイイって……!)


「まっ……今はあんな事があったばっかだし、色々精神面キツいと思うから、今日は帰ろうぜ。送ってくよ」


優しい。好き。好き!



その後、暁人に家まで送ってもらい、連絡先を交換して別れた。

その日から、私は変わった。

派手だった髪を黒に戻し、メイクも薄くして、学校に毎日登校した。すぐに手を出していた暴力も封印し、内面から変わるように努力して、周りのみんなと少しずつ距離を縮めていった。

そうして普通の学校生活を送るうちに、数人ほど話せる友達ができた。嬉しかった。

私がこんなに変われたのは、全部……暁人のおかげ。

暁人と恋人になりたい。イチャイチャしたい。デートしたい。結婚したい。暁人の子供が欲しい。

……絶対に、暁人を私のモノにする。

どんな手を使ってでも。


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